少女は恍惚とした表情を浮かべ…手と手が重なり合うだけでエロさがほとばしる名作

#エロい映画#ジェーン・マーチ#レオン・カーフェイ#愛人/ラ・マン

『愛人/ラ・マン』
『愛人/ラ・マン』
(C) Renn Productions,Burill Productions,Films A2 all raights reserved.
『愛人/ラ・マン』
『愛人/ラ・マン』

15歳少女とアジア人男性の愛欲の日々を描いた『愛人/ラ・マン』

三つ編みの少女がまっすぐこちらを見つめるモノクロームの写真。1992年に公開されたフランス映画『愛人/ラ・マン』は、そのポスタービジュアルとストレートなタイトルで当時日本でも注目を集めた。15歳の白人少女がひと回り以上年上のアジア人男性とただならぬ関係になるというシチュエーションからして淫らではないか。公開から30年以上の年月が経った今、改めて『愛人/ラ・マン』のエロさを女性目線で紐解いてみようと思う。

人妻のエロさに騒然、元美少女子役が主演の人気作! キスをしながら獣のように…

この映画で印象的なのは、物語の主要人物である少女(ジェーン・マーチ)とアジア人男性(レオン・カーフェイ)の名前が最後まで明かされないところだ。いくら逢瀬を重ねても身体の交わりを持っても、作中で互いが名前を呼び合うことはない。視聴者も、最後まで彼らの名前を知り得ないままラストシーンを迎える。

貧しい家庭の少女と金持ちの青年が出会い…

舞台は1929年のフランス領インドシナ。少女の家は母子家庭で兄が2人いる。長兄はアヘン中毒の上に素行不良の札付きで、ことあるごとに次兄をいびっては泣かせ少女にも悪態をつく。母親は小学校教師でありながら、長男の振る舞いを一切諫めようとはしない。人間関係がギスギスしているうえに経済事情も極めて厳しく、少女にとって実家は地獄でしかない。普段は学校の寮で暮らしているが、時たまメコン川を渡る水上バスに乗って帰省をしている。少女が男と出会ったのはこの船上でのことだ。

デッキの手すりに片足をかけて佇む少女に興味を持った男は、タバコを勧める口実で彼女に声をかけた。白のスリーピースに上質な革靴。船客のほとんどが貧しい身なりのなか明らかに浮いており、かなり裕福であることが一目で見て取れる。彼は大金持ちの華僑の息子で、運転手付きの高級車と共に乗船していたのだ。「船を降りたら車で寮まで送る」と申し出た彼が、少女に性的な魅力を感じているのは明らかだった。

車窓に唇を押し付けて

車の後部座席の端と端に座る二人。断片的な会話はあるものの、少女はどこまでもそっけなくドライだ。座席に置かれた少女の手に男の手がにじり寄っていく。遠慮がちに少女の手に触れた男の手は次第に大胆さを増し、手を重ね、握りしめ、指を絡ませていく。だが互いの視線は一向に交わらず会話もない。手を握っているだけなのに、無言で恍惚とした表情を浮かべる少女の姿がなんともエロい。

翌日の下校時に校門の外に停まる男の車を見つけた少女は、車に歩み寄ると目を閉じて車窓に唇を押し付けて去っていく。これを誘惑と言わずしてなんと呼ぼう。元々下心があって声をかけた相手から、こんなキス顔を見せられてはたまったものではないだろう。

『愛人/ラ・マン』

(C) Renn Productions,Burill Productions,Films A2 all raights reserved.

男は少女を抱くことをためらい、少女は大胆に求める

ほどなくして二人は、チャイナタウンにある男の別宅で逢瀬を重ねるようになる。最初にその場所を訪れた日、32歳の男は幼い少女を抱くことをためらった。そんな男に、処女でありながら「愛はいらないからただ抱いてほしい」と告げる少女の大胆さは一体どこから来るのか。思春期ゆえの性への好奇心もあるにはあるが、貧しい家庭へのやるせなさ、兄への憤り、何ひとつ希望が持てない自分の境遇に苛立ち、自暴自棄になっているようにも見える。

服を脱がせて全裸の少女をベッドに横たえてもなお、男は「あなたは幼すぎるから抱けない」と躊躇する。それでも少女はひるまず、男の服を脱がせ、胸をはだけ、肌に舌や指を這わせて自分から積極的に求めていくのだった。

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華奢なまでになめらかな肌
体毛はなくペニス以外は男らしさのない弱々しい身体
彼女は相手の顔を見ずに触れてみた
やわらかい皮膚と男根の手触り
彼女は未知という名の黄金を愛撫した
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若干しわがれ声の熟年女性のナレーションによって、さらにエロさが加速する。ナレーションを担当しているのは、往年の大女優ジャンヌ・モローである。

初めて結ばれて以降、二人は毎日この秘密の隠れ家で快楽にふけるようになる。1929年当時のインドシナのチャイナタウンにある隠れ家は、鎧戸の隙間から人々の往来が見て取れるなんとも風通しの良い造りだ。路地裏の喧騒や通行人の気配が手に取るように伝わってくるシチュエーションの中、カーペットやベッドの上で男女が交わる光景はなんともエロい。

愛欲だけでは語れない悲しくも美しい名作

少女は、授業が終わって校門を出ると迎えの車に乗って隠れ家へ向かう。いつしか級友や父兄からは「連れ込み宿で中国人と寝るドブネズミ」と陰口を叩かれ、完全に孤立していく。それでも彼女は快楽をむさぼることをやめない。その理由は果たして何なのか。背後には愛欲だけでは語りつくせない「切ない理由」が見え隠れする。『愛人/ラ・マン』は、悲しくも美しい官能映画である。(文:春蘭/ライター)

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