新型コロナウイルスの感染拡大で、アメリカの映画館が閉鎖されるなか、映画会社では次々と新作映画のデジタル配信の前倒しを発表。通常であれば劇場公開開始からデジタル配信までの期間を3ヵ月ほど空けなくてはいけないルールだが、3ヵ月を切る作品が相次いでいる。
・映画館は夏まで閉鎖の可能性も。新型コロナが襲うアメリカ映画界、日本への影響は?
ユニバーサル
『エマ(原題)』(2/21公開)、『透明人間』(2/28公開)、『ザ・ハント(原題)』(3/13公開)を3月20日配信
ディズニー
『2分の1の魔法』(3/6公開)を3月20日配信、動画配信サービス「ディズニー・プラス」で4月3日配信
ソニーピクチャーズ
『ブラッド・ショット(原題)』(3/13公開)を3月24日配信
ワーナーブラザース
『ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 BIRDS OF PREY』(2/7公開)を3月24日配信
パラマウント
『ソニック・ザ・ムービー』(2/14公開)を3月31日配信
ユニバーサルは、4月10日公開『トロールズ ワールドツアー』の劇場公開とデジタル配信を同時に始める。
一方、劇場主の業界団体である全米劇場所有者協会(NATO)は、米政府に緊急支援を要請している。劇場への債務保証や優遇税制のほか、15万人にのぼる劇場従業員に失業手当を出すよう求めている。NATO代表のジョン・フィシアン氏が21日にバラエティ紙に語ったところでは、「劇場ビジネスは年間150億ドル──チケット販売収入110億ドル、劇場での飲食物販売収入40億ドル──を生み出している。この収入が3、4ヵ月もの間、ゼロになる。従業員は一時的に解雇しているが、劇場の家賃や光熱費などの支払いもある。政府の支援がなければ、倒産に直面する映画館が出てくるだろう」。
日本の19年の年間興行収入(チケット販売収入)は2612億円。対するアメリカは1ドル100円換算で1兆1100億円。米国では映画産業の規模が大きく、社会に対する影響度も大きいことから、日本とは異なり劇場側が政府へ支援を要請する動きが出ているようだ。(文:相良智弘/フリーライター)
相良智弘(さがら・ともひろ)
日経BP社、カルチュア・コンビニエンス・クラブを経て、1997年の創刊時より「日経エンタテインメント!」の映画担当に。2010年からフリー。
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