「週末天気が良いからと言って外出制限を忘れないように」と政府が釘を刺すなど、最高気温20℃の春の陽気となったイギリスでは、現地時間4月5日の夜、エリザベス女王のビデオメッセージが全国放送された。クリスマスを除き、特別な事態に際して女王が国民に語りかけるのは、即位68年の間で5度目。女王は医療従事者や自宅待機を続ける人々に感謝を述べ、この戦いに「必ず勝利し、その勝利は私たち1人ひとりのものとなる」と呼びかけた。
・【ロンドン通信】新型コロナで外出制限中のイギリスで感動シーン!国民のヒーロー「NHS」に感謝の拍手
前回の記事でも紹介したNHSに感謝を伝える「Clap for Our Carers」は4月2日夜にも行われ、2回目もたくさんの人が玄関先から拍手を送った。子どもたちが描いたNHSへの応援のシンボルである虹の絵が、住宅街の窓から外に見えるように貼られている。外出制限令から2週間、買い占めも落ち着いてきた今、ロンドン市民はどう過ごしているのだろう。
筆者が部屋を借りるシェアハウスの同居人はランニングを日課にしている。走った距離の合計を友だちと競っているそうだ。その彼女がある晩、お化粧してキッチンに入ってきた。ついに外出制限を破って遊びに行くのかと一瞬疑ってしまったが、彼女がワインを持って向かった先は自分の部屋。その夜はビデオチャットで友だちとの“オンライン飲み会”を2〜3時間楽しんだという。グループ・ビデオチャット・アプリ「Houseparty」や、ビジネス向けのビデオ会議ツール「Zoom」は今や、友人とのコミュニケーションやオンライン授業を取り入れる教育現場にとっても欠かせない(Zoomには現在、システムの安全性を指摘する声も上がっている)。親しい誰かとの対話は、この先の見えない状況を一時忘れさせてくれる。
Netflix等のVODサービスで、今どんなドラマや映画にハマっているのかも食事の時によく話題になる。リビングにある備え付けのテレビを、誰かが使っているところは一度も見たことがない。シェアハウスに1つしかないテレビを取り合うよりも、1人1台のノートPCで、好きな時に好きな番組を見る方が快適なのは言うまでもない。さらにイギリスのキー局であるBBCやITVはストリーミング配信に対応している。部屋で番組を楽しもうと、ITVに登録してみた。名前やメールアドレス、ポストコード(郵便番号)を入力するだけで、登録は無料。すぐに放送中の番組が見られるようになった。
イギリスを代表する文学そして演劇界からも、国内そして世界中で自宅待機している人々に向け、無償提供の輪が広がっている。「ハリー・ポッター」シリーズの著者J.K.ローリングと関係各社は、4月1日に「Harry Potter at Home」を立ち上げた。専用Webサイトで原作ファンの子どもたちが楽しめるクイズ等のコンテンツ(現時点では英語のみ)を提供するほか、書籍第1巻「ハリー・ポッターと賢者の石」のオーディオブックを無料公開、日本語翻訳版も対象となっている。
(Sara Suzuki/London)
詳細および最新情報は以下の各公式サイトよりご確認ください。
【Harry Potter at Home】
https://www.wizardingworld.com/collections/harry-potter-at-home
【オーディオブック Audible】
https://stories.audible.com/start-listen
【National Theatre at Home】
https://www.nationaltheatre.org.uk/nt-at-home
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