見ているだけで功徳アリ?! 日本でしか成立しないブッダとイエスの共同バカンス/#うちで過ごそう

『聖☆おにいさん』
(C)中村 光・講談社/パンチとロン毛 製作委員会
『聖☆おにいさん』
(C)中村 光・講談社/パンチとロン毛 製作委員会

【ヲタクのオススメ】ブッダとイエスのゆる〜いコメディで息抜き!『聖☆おにいさん』

外出自粛要請中のいま、自宅で映画やドラマを見て過ごす時間も増えた方も多いと思う。しかしながら、たくさんあり過ぎて何を見るか迷ってしまう…という方は、ちょこっとヲタクの世界を覗いてみてはいかがだろう? 新たな世界に開眼すれば、お籠り生活でも活力が湧いてくるはず。

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今回紹介するのは、ゆる〜いギャグでクスッと笑える実写ドラマ版の『聖(セイント)☆おにいさん』。原作は中村光原作の「モーニング・ツー」に2006年から連載している青年漫画で、「このマンガがすごい!2009」オトコ編第1位の座を獲得し、2009年に手塚治虫文化賞短編賞に輝いている。

物語の主人公はなんとブッダとイエス! しかし、哲学的で宗教的で壮大な物語が繰り広げられるわけではない。逆にとても現実的でこじんまりとしていて庶民的なお話。無事に世紀末も乗り越えたブッダとイエスが、下界でバカンスを過ごすのだ。その過ごす場所というのが東京の都心から離れた立川にある安アパートの一室。ここをシェアして共同生活を送る2人の日常を描くのだ。

コンビニで買い物して帰ってそこであった他愛も無い出来事について話したり、趣味に使う物を通販で購入したり。畳の和室に住んでいながら、思い出話では「何世紀頃の話?」とやたらとスケールがデカくて、しっかりと神様基準なところにギャップがあって面白い。イエスは衝動買いが多くて飽きっぽく、ブッダは主婦のようにお金に細かくてうるさい。服装は妙な言葉の入ったTシャツにジーンズだ。

そんな出で立ちもそのまんまで演じるのが、ブッダ役の染谷将太と、イエス役の松山ケンイチという演技派2人。しっかりと成りきって演じてくれるし、風貌もオリジナルを彷彿とさせる。松山は頰がコケててヒゲとロン毛で茨の冠をかぶっている姿がイエスっぽい! 染谷は螺髪(らはつ)頭で白毫そうという眉間のホクロみたいなのをつけて、それだけでもブッダっぽいのだが、涙袋がしっかりあるカマボコ目な目元もブッダに似て見えてくる。見た目を似せているから、このコメディが生きてくるというもの。

監督は『銀魂』などの福田雄一。イエスが「ジョニー・デップに似てるって言われちゃった」というエピソードは原作にもあるが、それに対してブッダ「欅坂46の平手ちゃん(現在は脱退)に似てるって言われた」とのセリフがアレンジされており、福田監督らしくてププッと笑える。染谷将太と平手友梨奈……マジで似てる。

ドラマの冒頭には製作総指揮を務める山田孝之のインタビュー付き。「せいさくそうしき」の手書き文字Tシャツがこれまたゆるくて笑える。引きこもり生活に疲れた時、息抜きに見るのに最適のゆるいコメディだ。(文:入江奈々/ライター)