【フォトグラファーのオススメ/写真やカメラが印象に残る映画 4】
『冷たい雨に撃て、約束の銃弾を』
男くさい作品を得意とするジョニー・トー監督が、2017年に亡くなったフランスの国民的スター、ジョニー・アリディを主演に迎え、アンソニー・ウォン、、ラム・カートン、ラム・シュー、サイモン・ヤムというおなじみの顔ぶれで撮影した香港ノワールです。結末が分かっていてもたまに見返したくなる映画で、小粋な小道具としてポラロイドカメラが出てきます。
・呪いのカメラが惨劇を巻き起こす!『チャイルド・プレイ』監督のハリウッドデビュー作
娘の家族を殺され、マカオにやってきた初老の元・殺し屋、コステロ(アリディ)。言葉も通じない異国の地で、ホテルで遭遇した3人の男、クワイ(ウォン)、チュウ(カートン)、フェイロク(シュー)を殺し屋と見抜き復讐への協力を依頼。やがて敵討ちを果たすも、相手はクワイたちにとってボス(ヤム)の仲間だったことから報復の連鎖が始まる、というのが大まかなストーリーです。
緊迫したシーンの合間に挟まれる生き生きとした食事の描写や、出会ったばかりながらコステロの銃さばきを見て認め合うクワイたちの気持ちのいい男ぶり、敵・味方共に闘いのさなかで見せる騎士道精神など、人間臭いシーンが盛り込まれているのもトー監督のお家芸。
さて、ポラロイドカメラの出番はといいますと、コステロが記憶を紐づけるアイテムとして出てきます。物語の序盤、「顔を覚えるために」とクワイたちを撮り、出てきた写真に名前を書き添え肌身離さず持ち歩くコステロ。仕事柄「撮るな!」と声を上げるクワイ、仕方なく撮られる真面目なチュウ、「ちょっと待って」とポーズをとるお調子者のフェイロク。三者三様の反応も個性が出ていて面白いです。(文:ナカムラ ヨシノーブ/フォトグラファー)
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