大ヒットコミック「鬼滅の刃」でネットがざわついている。
「鬼滅の刃」は大正時代を舞台にした和風ファンタジーアクションで、主人公の炭治郎たちが家族を殺した鬼と戦う姿を描いている。新人作家の吾峠呼世晴(ごとうげ・こよはる)原作により「週刊少年ジャンプ」に2016年2月から連載開始され、TVアニメシリーズ化もされて人気爆発。単行本の年間発行部数はあの「ONE PIECE」を超え、累計発行部数はこの5月に6000万部を突破している。
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そんな人気絶頂の中、5月18日発売の「週刊少年ジャンプ」24号に掲載された205話で完結し、約4年3ヵ月の連載に幕を下ろした。
人気作は単行本も本誌も部数を伸ばすため、作者の意向に関わらず編集部の意向でなかなか連載を終わらせてもらえないと聞く。現に「ドラゴンボール」は「もうちっとだけ続く」と単行本17巻あたりで言っていたが、実際は42巻まで続いている。「鬼滅の刃」は兼ねてから“次号クライマックス”などと煽っていたが、俗にいう「終わる終わる詐欺」で終わらないものかと思っていたので、「本当に終わるんだ!」といささか驚いた。
「うる星やつら」などの高橋留美子のように明らかに女性らしい名前ではないので、少年漫画の作者が女性かもしれないということを意外に思った人も多いようだ。
しかしながら、少年漫画や青年漫画の作者が女性らしい名前でないが、実は女性作家だという例は珍しくはない。「鋼の錬金術師」の荒川弘(あらかわ・ひろむ)もそうだし、「モテキ」の久保ミツロウはメディアにも出ているので風貌を知る人も多いと思う。
他にも「別冊マガジン」に連載されていた「聲の形」の大今良時(おおいま・よしとき)も女性。袋とじをしたり性的な表現についても踏み込んだ描写をしている「週刊少年マガジン」で連載中の「ドメスティックな彼女」の流石景(さすが・けい)が女性であることも話題となったことがある。
枚挙にいとまがないわけではあるが、「鬼滅の刃」に関しては鬼退治について少々グロテスクな描写もあるからかもしれない。ただ、そういうことを言うなら、かなりグロいシーンも登場する「ドロヘドロ」の作者・林田球も女性作家だと言われている。
作家の性別で作風が制限されることはないはずだ。「鬼滅の刃」は小学生も含めて幅広い層にも浸透したため、他の作品や作者について広く知らないせいで女性作家であることに驚いたファンもいるということも考えられる。それだけ今まで漫画に慣れ親しんではいなかった人たちもこの作品に触れたからなのであれば、喜ぶべきことなのかもしれない。(文:入江奈々/ライター)
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