校長のスポーツカーを“直立”…強烈なインパクト残すシーンの舞台裏とは? 数々の海外映画祭で話題呼ぶ『HAPPYEND』メイキング映像

#HAPPYEND#日高由起刀#映画#栗原颯人#空音央

『HAPPYEND』
(C)2024 Music Research Club LLC
『HAPPYEND』
『HAPPYEND』

学校にそびえ立つ黄色いスポーツカーのアイデアは実話がヒント!?

空音央監督の長編劇映画デビュー作『HAPPYEND』より、物語の起点ともなるそびえたつ黄色い車のシーン他メイキング映像を紹介する。

・濱口竜介監督、友情の危うさ描く『HAPPYEND』に賞賛コメント「遥かな未来への予感を抱かせる」

・【動画】佐野史郎の愛車が見事に美しい縦直立に/映画『HAPPYEND』メイキング映像

本作は、コンサートドキュメンタリー映画『Ryuichi Sakamoto | Opus』(23年)で世界中の映画祭から注目を集めた新鋭・空音央監督の長編劇映画デビュー作。先月開催されたヴェネツィア国際映画祭でのワールドプレミアを皮切りに、トロント、ニューヨーク、釜山などの国際映画祭にて上映され話題をよび、平遥国際映画祭ではロベルト・ロッセリーニ審査員賞を受賞。さらに、第17回アジア太平洋映画賞では、最優秀作品賞と最優秀脚本賞にノミネートされている。

XX年後のとある都市。変わりゆく社会の中で、変わらない友情を育んでいた幼馴染で大親友の高校生のユウタ(栗原颯人)とコウ(日高由起刀)は卒業を間近に控え、いつもの仲間たちと悪ふざけをしながら楽しく過ごしていた。ある日、2人が仕掛けたいたずらが学校中を巻き込んだ騒動に発展し、監視システムを導入する事態に。この出来事をきっかけに、アイデンティティと社会への違和感について深く考えるようになったコウと、仲間と楽しいことだけしていたいユウタは少しずつすれ違い始める…。

本作の予告でも強烈なインパクトを残している、直立した黄色のスポーツカー。この車は主人公のユウタ(栗原)とコウ(日高)が通う高校の校長・長井(佐野史郎)の愛車で、直立させた犯人は、深夜の学校に忍び込んだユウタとコウ。ユウタの突拍子もない発案で2人で車を立てる悪戯を実行したのだが、映像を見て、どうやって直立させたのかと疑問を思った方も多いだろう。実はCGではなく実際にクレーンで吊って撮影している。

今回紹介する映像ではクレーンで吊るされているスポーツカーの様子が映っている。撮影後のスポーツカーは、撮影後にロケ地である神戸市立科学技術高等学校がものづくりを学ぶ学校であることから、寄付されたんだそう。

また、この強烈ないたずらは、不良中学に通っていたという知り合いから、学校で先生の車を立たせる悪戯があったという逸話を空監督が聞いたことから得た発想だという。よくよく話を聞くと、実際は縦ではなく横にして立てられたらしいのだが、監督の中では「話を聞いたときのイメージが完全にモノリスのような直立だった」ことから、脚本に反映させ、見事に美しい縦直立での撮影を成功させた。

『HAPPYEND』

また、校長を演じた佐野史郎と、主演の栗原颯人、日高由起刀のオフショットも初解禁された。物語の中では対立する役どころだが、今回演技初挑戦だった主演2人は、佐野との共演に関して「とてもフラットに関わってくださる方。のびのび自分が思ったようにやればいいよとアドバイスをもらった」とインタビューでも振り返っている。

そしてメインキャスト5人が夜道を駆け抜けるシーンと、終盤のある場面で抱き合うシーンのメイキング映像も解禁。5人中4人が演技未経験。監督はクランクインの前にワークショップを行い、お互いの距離を縮めあうための練習をしてもらったという。いつしか5人は自ら本読みを行ったり一緒に食事に行ったり、空監督の知らぬ間にどんどん関係性を深め、撮影が始まる頃には実際に友情が出来ていたんだとか。抱き合うシーンでも監督の演出に真剣に耳を傾けながらも終始和やかな雰囲気が漂う。

すでに北米、シンガポール、フランス、韓国、台湾、中国など11の国と地域での配給が決まっている本作。ヴェネチア国際映画祭でのワールドプレミア以降、トロント、ニューヨーク、ピンヤオ、釜山といったありとあらゆる映画祭で喝采を浴び、今後もロンドン、ウィーンなど世界中の映画祭での上映が決定している。

日本を舞台にした物語ではあるが、友情の揺れ動きや不安定な社会と如何にして向き合うのかなど住んでいる国を問わずに共感を得ている。今回、日本に住んでいる英語話者にも届いて欲しいという想いから英語字幕版の上映が決定。英語字幕版上映は、10月25日~10月31日まで新宿ピカデリーで行なわれる。

『HAPPYEND』は現在公開中。

INTERVIEW