一晩で7、8人と…色情狂の女性が語る性の遍歴、あの問題作は果たしてエロいのか?
#エロい映画#シャルロット・ゲンズブール#ニンフォマニアック#ラース・フォン・トリアー#ステイシー・マーティン#ステラン・スカルスガルド
鬼才トリアー×シャルロット『ニンフォマニアック Vol.1/Vol.2』
色情狂を意味するニンフォマニアックという言葉をご存じだろうか。この言葉をそのままタイトルにして制作された2部作の映画がある。監督は『ダンサー・イン・ザ・ダーク』で第53回(2000年)カンヌ国際映画祭のパルムドールを受賞したデンマークの鬼才、ラース・フォン・トリアー。主役を演じたのは、シャルロット・ゲンズブールだ。色に狂う女性の人生はさぞかし華やかで艶っぽいのではと勝手な想像を巡らせてしまうのだが、果たして彼女の性遍歴とはいかなるものでどのくらいエロいのか。女性目線で紐解いてみたいと思う。
・人妻のエロさに騒然、元美少女子役が主演の人気作! キスをしながら獣のように…
セリグマン(ステラン・スカルスガルド)という年配の男が、ある日、裏通りで怪我を負って倒れているジョー(シャルロット・ゲンズブール)という女性を発見する。救急車を呼ぶことを頑なに拒否する彼女を放っておけず自宅に連れ帰って介抱することにしたのだが、回復した彼女の口から語られたのは色情狂=ニンフォマニアックとして生きてきた女性の極めて珍奇な物語であった。若い頃のジョーはステイシー・マーティンが演じている。
手当たり次第に男を漁る、筋金入りの色情狂
友達とマスターベーションに興じるなど幼いころから性への関心は高かったものの、人並外れた性欲の萌芽を彼女が自覚し始めたのは10代の頃であろうか。とにかく処女を卒業したくて、以前から気になっていたジェロームというバイク好きの青年に処女を奪ってくれるよう直談判に行く。初体験は惨憺たるものだったが、その後、彼女は友達と連れ立って電車に乗ると「目的地に着くまでに車内でどちらが多くの男とヤれるか」といった賭けに興じるなど、手当たり次第に男を漁り始めるようになる。
同じボックス席に座って男性の乗客にあからさまに秋波を送れば、男は面白いように餌に食いつき少女と連れ立ってトイレへと向かう。だが中にはなかなか落ちない妻子持ちの男もいて、その日の“釣果”で友達に後れを取っていたジョーは「あの男を落としたらボーナスポイントをあげる」と友達に持ち掛けられ、ボックス席でフェラチオをするという荒業をやってのけて賭けに勝利する。
一時期は一晩に7、8人の男と関係を持つなど、次々と男性遍歴を重ねていくジョー。最愛の父親が入院したときには、その不安をかき消すように病院内で毎晩のように男たちと関係を持っていたのだからまさに筋金入りの「色情狂」である。
彼女の性遍歴を聞いて学術的コメントを返す男
ジョーの性遍歴の聞き手であるセリグマンは博識な男で、自分の過去を自虐的に語るジョーに対し、数学や宗教や音楽理論を引き合いに出して学術的コメントを付していく手法が面白い。これは言葉で説明するのはなかなか難しいので、百聞は一見に如かずということで映画を見ていただければ言わんとすることがわかっていただけると思う。
だが、「交わりこそ生業」といった人生を送っていたジョーは突如不感症になってしまう。何とか感覚を取り戻そうと必至になり、濡れたタオルで股間を何度も引っぱたいてみたり、SMの世界に足を踏み入れてみたり、言葉の通じない男と交わりを持てば違う世界が開けるのではないかと画策したりと八方手を尽くす。
3Pで口論には思わず失笑も、ラストは衝撃的
街角にたむろして雑談にふけるアフリカ系と思われる若い黒人男性グループに目を付け、通訳を雇ってまでその中の1人の男と交渉するジョーの行動力には感服だ。通訳を通じて「セックスをしたい」と伝えるとともに待ち合わせ場所を書いたメモを渡すが、当日そこにやってきた男はなぜか2人連れだった。
2人は手分けしてジョーの上の穴と下の穴にペニスを挿入するが、ほどなく行為を中断して急に言い争いを始める。2人の男が勃起したまま向かい合って口論をする姿には失笑を禁じ得ない。
作品のテーマ上あからさまな性描写が頻繁に出てくるのだが、ジメッとしたいやらしさはなく生々しい肉と肉とのぶつかり合いといった印象を受ける。衝撃的なラストシーンにも注目だ。(文:春蘭/ライター)
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