金持ち兄夫婦のうんちくと自慢にうんざり…完璧な家族の崩壊描く名匠ホ・ジノ監督最新作
ひとつの事件をきっかけに、完璧に見えた家族の崩壊が始まる
ソル・ギョング&チャン・ドンゴンの共演、『八月のクリスマス』(98年)『危険な関係』(12年)で知られる名匠ホ・ジノ監督によるサスペンス映画『満ち足りた家族』。本作より、会話がどこかぎこちない兄弟家族の高級レストランでの豪華ディナーシーンを紹介する。
『八月のクリスマス』で商業長編監督デビューするなり韓国映画ニューウェイブの始まりをいち早く世界に告げたホ・ジノ監督。その演出力への絶大な信頼から数多の俳優たちが出演を嘱望してきた彼の最新作では、家族間の親密な描写を細やかに積み重ねながら、人間の心理の奥底に潜む淀みや揺れ動きを緻密に、衝撃的に描きあげた。
兄ジェワン(ソル・ギョング)は、道徳よりも物質的な利益を優先して生きてきた弁護士だ。仕事のためなら、殺人犯の弁護でさえも厭わない。年下の2人目の妻ジス(クローディア・キム)や10代の娘らと共に豪華マンションに住み、家事は家政婦がこなす誰もがうらやむ暮らしだ。
一方、小児科医として働くジェギュ(チャン・ドンゴン)は、どんな時にも道徳的で良心的であることを信念に生きてきた。年長の妻ユンギョン(キム・ヒエ)と10代の息子と共に住む彼は、老いて痴呆気味になった母の介護にも献身的に当たり、品行方正な日々を送る。
まったく、相容れない信念に基づいて生きてきた兄弟。しかし2人は、それぞれの妻を伴って月に1回、高級レストランの個室に集い、ディナーを共にする。レストランではお得意様であるジェワン夫妻が常に優先され、兄弟家族同士の会話はどこかぎこちない。
ディナーが行われた夜、時を同じくある事件が起こり、満ち足りた日々を送る家族が想像だにしなかった衝撃の結末を招き寄せる——。
キャストには、『ペパーミント・キャンディ』(99年)『オアシス』(02年)などのソル・ギョング、『ブラザーフッド』(04年)などで知られる人気スターで約5年ぶりのスクリーン復帰となるチャン・ドンゴン。さらに、韓国ケーブルテレビ史上高視聴率を記録したドラマ『夫婦の世界』のキム・ヒエ、『アベンジャーズ/エイジオブウルトロン』(15年)『ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生』(18年)などハリウッドでも活躍するクローディア・キムら名優が揃う。
先月11月、日本公開を盛り上げるべくチャン・ドンゴンとホ・ジノ監督が来日。登壇したジャパンプレミアが大盛況のうちに幕を閉じ、ますます公開が期待されている本作から本編映像が解禁となった。
ソル・ギョング演じるジェワンは“利益を優先する弁護士の兄”、チャン・ドンゴン演じるジェギュは“道徳的であろうとする医者の弟”。対照的な信念に基づいて生きてきた2人だが、月に1回、それぞれの美しい妻を伴って高級レストランでディナーを共にする。先にレストランへ到着したジェギュ夫妻が車を預けようとするも、お得意様であるジェワン夫妻を優先され、妻のヨンギョン(キム・ヒエ)からも「お金が全てね」と言われる始末だ。
あきれた様子のジェギュだが、それはディナー中でも変わらない。誇らしげにワインの「若さの秘訣」のうんちくを披露するジェワンに“またかよ”といった表情を浮かべる。ジェギュの雰囲気を察してか「たくさん飲まなきゃ」と笑って返すヨンギョンだったが、ジス(クローディア・キム)の悪気ない言葉が空気を凍らせてしまう。
会話がどこかぎこちない2組の夫婦による、度々登場する「家族会議」でもあるディナーが、本作のキーポイントとなっている。ディナーシーンによってどのように物語が展開していくのか、期待してほしい。
『満ち足りた家族』は2025年1月17日より全国公開。
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