美しくゴージャスな官能映画として日本の女性達を色めき立たせた伝説的作品『エマニエル夫人』から50年。現代を舞台にバージョンアップした『エマニュエル』が1月10日より公開される。
熱い視線で誘うノエミ・メルラン、飛行機内の名シーン再び
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1974年に公開された『エマニエル夫人』はジュスト・ジャカンが監督、性の冒険へと繰り出す主人公をシルヴィア・クリステルが演じ、全世界を熱狂で包んだ。日本では、官能シーン満載なのに一般映画として公開され、大人はもちろん女子高生までもが劇場に押し寄せ、大ヒットを記録した。
『エマニュエル』には、74年版で人々を官能の嵐へと導いた衝撃シーンと同じ描写も登場。そのひとつが、飛行機内での情事。この度、スタイリッシュに生まれ変わった同シーンの一部映像も公開された。
暗くなった飛行機内で、エマニュエルを密かに目で追う男性。エマニュエルはその熱い視線に気づいてゆっくりと上着を脱いで背中が大きく開いたキャミソールドレスになる。ゆっくりした動作、肌とこすれる布の音、徐々に表れる背中に視線はますます熱くなる。そのような視線を向けられていることを察しつつ、エマニュエルは挑戦するかのように席を立つ。真っ直ぐトイレの方へ歩いていき、扉を閉める。拒絶も許容もしないエマニュエルは、男性に行動の選択を委ね……。
大胆で挑発的ながらも静寂に満ち、新たな官能を見る者に届けてくれる。
エマニエル・アルサンによる官能文学の傑作「エマニエル夫人」を今回監督したのは、オードレイ・ディヴァン。観客にめくるめく興奮と陶酔、さらには幸福感までも与えるエロティシズムを大胆かつ刺激的に描き切った。前作『あのこと』では、中絶が違法だった60年代のフランスを舞台に予期せぬ妊娠に狼狽する女子大生の夢と戦いを描き、ヴェネチア国際映画祭金獅子賞、ルミエール賞作品賞を受賞したほか、英国アカデミー賞、セザール賞の監督賞にノミネートされるなどフランス映画界で最も重要な存在の1人とも言うべき監督だ。
一方、エマニエルを演じるノエミ・メルランは、『燃ゆる女の肖像』、『TAR/ター』など多くの話題作で忘れ難い輝きを放った逸材。真の快感を追い求め、セレブが行き交う高級ホテルを舞台に、人間の危険な欲望に果敢に向き合うエマニュエルの脆さと強さを体現している。
官能と芸術がせめぎ合うこの話題作の公開を目前に控え、各回の著名人からもコメントが寄せられた。
・[動画]全世界を虜にしたあの「エマニエル夫人」が現代に生まれ変わる!『エマニュエル』予告編
◆浅田智穂/インティマシーコーディネーター
湿度、お湯の温度、彼らの体温を感じる。
俳優がためらいなく安心して撮影に臨めることで、
観客と作品との距離が縮まると気づく。
温度を感じるほどに。
◆井手上漠/モデル・タレント
快楽、欲望。人間であれば必要な欲、それを肯定してくれるかのようなストーリー。エロティシズムで大胆で刺激的で、彼女がどのような選択をして物語が進んでゆくのか、人生のヒントもくれそうな物語だ。
◆枝優花/映画監督・脚本・写真家
『見せかけの楽園』に我々はしばし魅了され
ここが自分の生きる世界だと信じてしまう。
しかしそれが抑圧の成れの果てだと気づいた瞬間
もうそこには居られないはずだ。
そうして飛び出した先が、幸か不幸かは自分で決められる。いつだって自由だ。
◆奥浜レイラ/映画・音楽パーソナリティ
この身体は誰かに差し出すために存在するのではないと、立ち姿で語るノエミ・メルランから目が離せない。長らく男性の専有物として描かれてきた女性の官能を、50年の時を経て自分たちの手に取り戻すマスターピースだ。
・[動画]4Kレストア版で甦る/映画『エマニエル夫人 4Kレストア版』予告編
◆蛙亭イワクラ/お笑い芸人
こんなにも人の指先に心を奪われて、目でずっと追ってしまう映画は初めてでした。エマニュエルと出逢って気付いてしまったこの気持ちを解放してしまいたいです。
◆クラーク志織/イラストレーター
これは、エマニュエルという1人の白人女性を通して描かれた、既存構造からの脱却の物語なのかもしれない。もう誰も嵐から逃れることはできない。
◆児玉美月/映画文筆家
中絶が禁じられていた社会における女性の身体を描いた『あのこと』のオードレイ・ディヴァン監督が、今度は『エマニュエル』で快楽と官能を解放してゆく女性の身体を描く。ここに一貫してあるのは、女性による主体的なセクシュアリティを懸けた闘争にほかならない。
◆柴門ふみ/漫画家
新生エマニュエルは「夫人」では無く弱さや脆さを内包した働く女性でした。本当の自分を探し続ける姿は不器用でかついじらしい。
◆月永理絵/ライター、編集者
悪名高き「エマニュエル」。そのあまりに有名すぎる名前を脱ぎ捨てたミズ・アルノーの繰り広げる大冒険に、おおいに笑い、拍手を送りたくなった。権力と金と自由を手にした女は、代わりに失った欲望を再発見しようと、扉の奥を想像し、謎めいた男の跡を追いかける。だが扉の向こうにあるのは空っぽの部屋ばかり。この肩透かしと裏切りこそが、オードレイ・ディヴァン監督と脚本のレベッカ・ズロトヴスキ、そしてノエミ・メルランの悪戯めいた冒険なのだ。
◆野中モモ/翻訳者・ライター
“性の解放”が容易く搾取に結びついてしまうこの世界で、女の官能はいかに表現できるか?
この映画は私たちにたくさんの問いを投げかける。”
◆弘兼憲史/漫画家
前作の「エマニエル夫人」とは全く違う、強さを持ったエマニエルを見た。最高級ホテルの非日常空間と、香港の裏通りに潜む怪しいエロティシズムにグイグイ引き込まれる。
◆宮木あや子/小説家
彼女がタクシーの窓を開けた瞬間、画面越しに香港の街の猥雑なにおいや暑気や喧騒を浴びた。その先にある刹那的な情動は、昨今の過剰なイデオロギーの強要に辟易している一部の女性にとっては救済になるかもしれない。
◆安田理央/アダルトメディア研究家
1974 年のシルビア・クリステル以降、何人もの「エマニュエル」が登場したが、ノエミ・メルランは間違いなくその中でも最も美しく、コケティッシュだ。
◆ゆにばーす はら/お笑い芸人
エマニュエルがある人物と自慰行為をしてみる初々しいシーンが1番衝撃的で刺激的でした。カメラを通してみている感覚を忘れるくらいリアルで生々しくて感覚を研ぎ澄まされました。もし個室だったら自分もしていたと思います。
◆湯山玲子/著述家・プロデューサー
オシャレなエロスエンタメを期待すると、刺激的な裏切りにあう、時代が待ち望んでいた男と女の性愛の今、そしてこれから。
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