滝藤賢一「生き方の真髄を問われているよう」安楽死を望む女性と彼女に寄り添う親友の“最期の数日間”描く物語を賞賛

#ザ・ルーム・ネクスト・ドア#ジュリアン・ムーア#ティルダ・スウィントン#ペドロ・アルモドバル#山中瑶子#映画#武田真一#滝藤賢一

『ザ・ルーム・ネクスト・ドア』
(C)2024 Warner Bros. Entertainment Inc. All Rights Reserved.
(C)El Deseo. Photo by Iglesias Más.
『ザ・ルーム・ネクスト・ドア』
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『ザ・ルーム・ネクスト・ドア』
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『ザ・ルーム・ネクスト・ドア』
『ザ・ルーム・ネクスト・ドア』

ペドロ・アルモドバル監督最新作『ザ・ルーム・ネクスト・ドア』に絶賛コメント到着

病に侵され自らの意思で安楽死を望む女性と、彼女に寄り添うかつての親友。“その日”が来るまでの短くかけがえのない最期の数日間を描いたペドロ・アルモドバル監督最新作『ザ・ルーム・ネクスト・ドア』。本作を鑑賞した滝藤賢一、武田真一、山中瑶子ら著名人から絶賛コメントが到着し、気の置けない友人同士が“終の棲家”について電話で会話する本編映像が解禁された。

・安楽死を望む女性と、彼女に寄り添う親友の“最期”の数日間…ペドロ・アルモドバル監督最新作が公開決定

色鮮やかな映像とユーモアにあふれた作品で観客を魅了してきたペドロ・アルモドバル。アカデミー賞外国語映画賞に輝いた『オール・アバウト・マイ・マザー』(99年)、アカデミー賞脚本賞を受賞した『トーク・トゥ・ハー』(12年)をはじめ、映画界に偉大な足跡を残し続ける名匠が贈る最新作は、病に侵され安楽死を望む女性と彼女に寄り添う親友の最期の数日間を描く物語だ。

重い病に侵されたマーサ(ティルダ・スウィントン)は、かつての親友イングリッド(ジュリアン・ムーア)と再会し、会っていない時間を埋めるように病室で語らう日々を過ごしていた。治療を拒み自らの意志で安楽死を望むマーサは、人の気配を感じながら最期を迎えたいと願い、“その日”が来る時に隣の部屋にいてほしいとイングリッドに頼む。

主演は、ウェス・アンダーソン監督作品やジム・ジャームッシュ監督作品の常連として知られ、『フィクサー』(07年)でアカデミー助演女優賞に輝いた女優ティルダ・スウィントン。共演には、『アリスのままで』(14年)でのアカデミー主演女優賞に加え、世界3大映画祭すべてで女優賞を受賞したジュリアン・ムーア。ふたりのオスカー女優が親友同士を演じ、繊細で美しい友情を体現する。

『ザ・ルーム・ネクスト・ドア』

今回、本作を鑑賞した著名人からコメントが到着した。俳優の滝藤賢一は「生き方の真髄を問われているような。まさに終え方の美学」、日本テレビ『DayDay.』に出演するフリーアナウンサーの武田真一は「寂しさと温かさと、様々な感情が溢れ出る。人と人とのつながりを、もう一度信じたくなる映画だ」とコメント。

昨年のカンヌ国際映画祭に出品された『ナミビアの砂漠』を手掛けた山中瑶子も「 『かつて親しかった友人』という他者との、適切な距離についての素晴らしい映画。死に向かう物語にも関わらず、中年女性同士の瑞々しく、活きの良い関係性を鮮やかに描き出している。未来へのお守りのような一本!」と主人公マーサとイングリッドの距離感の描き方を絶賛。

『ザ・ルーム・ネクスト・ドア』

ライターのよしひろまさみちも「死が『終わり』ではないことを感じさせてくれる」と映画で語られる死生観に魅了されたことを明かし、スタイリストの北村道子は「死に無関心だった友の受け身のショットは私でもある。アルモドバルの脚本は見ている側にも参加を促している」と自己で体験したかのような深い共感を得たとコメント。他にも、死が人に与える影響を見事なドラマで描き切ったアルモドバルの手腕を絶賛するコメントが多数到着した。

また、劇中の一幕を切り取った本編映像が公開された。安楽死を心に決め、 自宅でつかの間の休息をとるマーサ(スウィントン)。ワイヤレスイヤホンを耳に、ご機嫌な様子で電話をかけた相手は友人のイングリッド(ムーア) 。死を受け入れたマーサは晴れやかな顔で終の棲家を見つけたことを報告するが、電話口のイングリッドは、2人のことを良く知るダミアン(ジョン・タトゥーロ)と顔を合わせ不安げな表情を浮かべる——。

『ザ・ルーム・ネクスト・ドア』

死をテーマとして描いている作品だが、映像から伝わるように辛気臭く重苦しい印象はまるでない。登場人物たちの衣装はカラフルで華やか、“終の棲家”の話題なのにワイヤレスイヤホンとハンズフリーというラフな格好で通話をする姿など、随所にアルモドバルならではのセンスとユーモアが散りばめられ、“死=重厚なテーマ”というイメージを打ち消し、“死を意識することで今を大切に生きることができる”というポジティブなメッセージを伝えている。 ちなみにティルダがワイヤレスイヤホンで通話をしながら喋り続けるという一人芝居を披露したアルモドバルの短編映画『ヒューマン・ボイス』(20年)も思い起こさせ、ファンの心をくすぐってくる 1シーンでもある。

『ザ・ルーム・ネクスト・ドア』

イングリッドは著作の中で「死を恐れている」ことを書くほど死に対して恐怖心を抱えており、戦場ジャーナリストとして世界中を飛び回り多くの死を目にしてきたマーサは自ら死を望む。 死に対して根本的に異なる考えをもつふたりだが、 果たして彼女たちの友情はどんなエンディングを迎えるのか?

■滝藤賢一(俳優)

生き方の真髄を問われているような。まさに終え方の美学。最期を迎えた時、どんな顔でいるのか。その顔は人生の集大成となっているのだろうか。その時を最高傑作にするためにも今までの生き方、そして、今、これからの生き方がとても重要な気がしてきました。

■武田真一(アナウンサー)

がんを患う主人公マーサは、旧友のイングリッドに自らの最期を見届けてほしいと依頼する。イングリッドは戸惑いながら引き受けるが、その役割が何をもたらすかは、彼女も、観客である私たちもわからない。ある時を迎えるまで…。

死は恐ろしい。せめて誰かに人生の物語を見届けてもらえたら、その苦痛はやわらぐだろうか? 寂しさと温かさと、様々な感情が溢れ出る。人と人とのつながりを、もう一度信じたくなる映画だ。

■ISO(ライター)

混濁した死と生をあらゆる被写体を介して観測してきたアルモドバルが、逝く者・見届ける者の両面から生命をやさしく抱擁する至高のメロドラマ。連帯する女たち、母と子、負の歴史が人に刻むトラウマ…これまで幾度も反復してきたテーマがここにきてこれほど優美に花開くとは。

■北村道子(スタイリスト、衣装デザイナー)

一人の女が死と苦悶に対してやってきた友に饒舌になっていく。そうとは知らない友は次第に引き込まれていく。死に無関心だった友の受け身のショットは私でもある。アルモドバルの脚本は見ている側にも参加を促している。鳥の鳴き声が響く山奥での出来事を映画に昇華した見事な作品である。

■伊藤さとり(映画パーソナリティ・映画評論家)

アルモドバルが母性を表現する時、赤を使う。けれど人生は一色ではなく、カラフルであり本能のままに生きた女性はビビットだと言わんばかりの神々しき女性のラストショーを目撃した。この次は何を撮るのか、もはや想像もつかない。

■清藤秀人(映画ライター)

いかに死にゆくかという課題は、いかに生きたかということと繋がっています。そして、アルモドバルは提案します。死に際でこそ美しくカラフルであれと。さて、マーサのようにレモンイエローの死装束はいかがですか?

■斉藤博昭(映画ライター)

どうやって自分の最期と向き合うか——。多くの人が考え、映画でも何度も取り上げられてきたテーマを、ここまで美しく、優しく、潔く描いた作品は初めてではないか。自らの運命を決めるティルダ・スウィントンの覚悟と佇まいは崇高そのもの。アルモドバル監督らしい鮮やかな美術。その決断がいつ実行されるのかというスリリングな緊張感。映画的喜びと興奮に浴しながら、最後は人生讃歌が導かれるミラクルな傑作だ。

■月永理絵(ライター、編集者)

遠からず死者になろうとする者と、生者はどのように向き合えばいいのか。このシンプルでいて残酷な問いを、アルモドバルはいくつもの脱線と絶え間ないおしゃべり、鮮やかな色の氾濫とともに描ききる。そして当然女性たち——母と娘の対話も。これまでとまったく異なる何かに挑戦しているようで、ここには、私たちがアルモドバルの映画に見てきたものすべてがある。

■ひらりさ(文筆家)

死は怖い。尊厳ある死を選びたい。家族をかえりみず仕事に打ち込んだ人生でも、死ぬときは、誰かにそばにいてほしい。アルモドバルの作品はいつも、人生のリアルな感情に満ちている。そこにひとしずく落とされるフィクションの色彩が、そのリアルをたまらなく鮮やかに彩るのだ。

■森直人(映画評論家)

更新されていくペドロ・アルモドバル監督の「集大成」。これ以上の深みの境地があるのだろうか。完璧なスタイリングのかっこいい大人たち。彼らの濃厚な人生の語りに耳を傾け、ジェイムズ・ジョイス原作『ザ・デッド/「ダブリン市民」より』への美しいオマージュに眼を潤ませながら、死の向こう側を想う。大傑作。

■山中瑶子(映画監督『ナミビアの砂漠』)

「かつて親しかった友人」という他者との、適切な距離についての素晴らしい映画。死に向かう物語にも関わらず、中年女性同士の瑞々しく、活きの良い関係性を鮮やかに描き出している。未来へのお守りのような一本!

■よしひろまさみち(ライター)

アルモドバル初の英語長編は、まるで極上の小劇場を見ているような、緊張感と閉塞感が漂う会話劇。友愛を超えたラブを感じる親友同士のカラフルで濃密な数日間は、死が「終わり」ではないことを感じさせてくれる。

■渡辺祥子(映画評論家)

あざやかな色に包まれた友情と別れの物語はいかにもアルモドバル映画。そこにある痛みも悲しみも死さえも美しく輝きながら、ティルダ・スウィントン演じるヒロインが喋る一言一言に彼自身の思いを重ねているようにも見える。

『ザ・ルーム・ネクスト・ドア』は1月31日より全国公開。

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