オダギリジョー『夏の砂の上』は「昨今の日本映画には珍しい…」共同プロデューサーも務めた主演作への思い語る

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(C) 2025映画『夏の砂の上』製作委員会 
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松田正隆の読売文学賞の戯曲・シナリオ賞戯曲を、気鋭の演出家・玉田真也が監督し、共同プロデューサーも務めるオダギリジョーの主演で映画化する『夏の砂の上』の全国公開が決定。豪華キャスト陣の発表も行われた。

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満島ひかり、森山直太朗、高橋文哉も出演の豪華キャスト

雨の降らない、暑い長崎の夏。息子を亡くした喪失感から人生の時間が止まり、妻・恵子に見限られた主人公・治は、妹が置いていった17歳の姪・優子と唐突に共同生活することになる。

愛を失った男、愛を見限った女、愛を知らない少女……それぞれの痛みと向き合いながら、彼らが夏の砂のように乾き切った心に、小さな希望の芽を見つけていく姿を描く、切なさと温かさが交錯する物語だ。

本作は、映画『紙屋悦子の青春』の脚本、映画『美しい夏キリシマ』の原作を手がけた、長崎出身の松田正隆による戯曲が原作。平田オリザが1998年に舞台化して以降、何度となく舞台で上演されている。

今回監督・脚本を務める新進気鋭の演出家・玉田真也にとっても、自身の劇団「玉田企画」で2022年に上演した、思い入れの深い作品だという。

本作の公開決定にあわせて、主人公・治役のオダギリをはじめとするキャストも発表された。

治の妻・恵子には主演作『ファーストキス 1ST KISS』(25年)が大ヒット公開中の松たか子。治の姪・優子を、『ベイビーわるきゅーれ』シリーズで人気を博し、2025年度後期NHK連続テレビ小説のヒロインに抜擢され、多くの注目を集める髙石あかりが演じる。

また、父親のいない優子を兄の治に預け、男の元へはしる奔放な妹・阿佐子役には『ラストマイル』(24年)で日本アカデミー賞優秀主演女優賞を受賞した満島ひかり。さらに優子のバイト先の先輩で、優子へ好意を寄せる立山役に、映画・ドラマなど多方面で引く手あまたの活躍をみせる高橋文哉。治が働いていた造船所の同僚・陣野に、自身のドキュメンタリー映画『素晴らしい世界は何処に』の公開が控えるフォークシンガーの森山直太朗。同じく治の造船所の同僚・持田には、九州を代表する名バイプレイヤーの名優・光石研がそれぞれキャスティングされた。

オダギリジョー、髙石あかり、松たか子らからコメント到着

今回、オダギリジョー、髙石あかり、松たか子のキャスト陣と、玉田真也監督、原作の松田正隆のコメントが到着した。

共同プロデューサーも務め、撮影前から玉田監督と会話を続けてきたオダギリは「脚本を読んだ瞬間『これは良い作品になる!』と感じた僕は、すぐにプロデューサーを買って出ることにしました。俳優としてはもちろん、さまざまな面で役に立てれば、という思いからでした」と語る。

さらにオール長崎ロケの本作について「松さんや満島さんをはじめ、信頼できるキャスト、最高のスタッフが共鳴してくれ、真夏の長崎にこの上ない土俵が用意されました。あくまで玉田監督の補佐的な立場を守りつつ、隠し味程度に自分の経験値を注ぎ込めたと思います。昨今の日本映画には珍しい『何か』を感じていただける作品になったと信じています」とその出来に胸を張る。

本作を「人間としても俳優としても、宝もののような大切な時間だった」と語ったのは姪・優子を演じた髙石あかりだ。

優子役を「優子は、はかなさと強さ、大人っぽさと少女らしさ、ひとりの人間のなかでまったく違う性質が混ざり合う独特な空気を持っています。そんな繊細な彼女をどう演じたらいいのか、長崎に入る前に玉田監督とお話をさせていただき、“ありのままの自分”で精いっぱい役と向き合うことにしました」と振り返り、「長崎での撮影は、優子が過ごしたあの時間のように、自分にとってとてもかけがえのないものとなりました」と感慨深げにコメントした。

「全員が汗だくになりながら、この映画の世界に向かって歩いていたように思います」と語ったのは松たか子。

夫・治への「静かな怒り」を秘めた女性・恵子を演じた松は「恵子が愛すべき人間かというと、それはわかりませんが……」としながらも、本作を「他者に共感や理解を求めない、なんともいえない、滑稽で愛すべき人たちが出てくるお話のような気がします」と言う。

こうした豪華キャストについて、「素晴らしい俳優たちに集まっていただきました」と監督の玉田真也は話す。

「演出するにあたり、皆さんとても協力的にアイデアを出してくださり、何ひとつストレスなく撮影をすることができただけでなく、何度見ても芝居が面白く、最前列で見るお客さんのように彼ら、彼女らの芝居をただ楽しんでいる瞬間もたくさんありました。皆さんの芝居に、この映画を想定の何倍も上に引っ張ってもらえたと思います。とても贅沢な時間でした」と感慨深げだ。

原作の松田正隆も「私は、戯曲が消え去り映画に生まれ変わることを望んでいた。この映画を見て、何よりも映画らしい経験を得たことがとてもうれしかった」と、完成した作品を鑑賞後に答えている。

映画『夏の砂の上』は7月4日より全国公開。

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