現地時間6月15日、ロンドン市民はコロナ禍における節目の日を迎えた。外出制限が始まった3月末以来はじめて、衣料品店・書店・雑貨店など、全商店の営業再開が許可されたのだ。
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再開するには政府が定めるガイドラインを守る必要があり、店側はここ数週間、準備に追われてきた。午前中に中規模のショッピングセンターに行ってみると、友だち同士や家族連れで賑わっている。政府は買い物はなるべく1人で行くよう呼びかけているが、再開初日のこの日は1人客の方が少なかった。
各テナントの入り口には店員が立ち、店内の人数が増えすぎないよう、2〜3人ずつ入店させる。店の外に人が並んでいる光景はもはや見慣れたものだ。最も長かった衣料品チェーン「PRIMARK」の列に並んでみたが、15分程で入店できた。手ごろな価格で若者に人気のPRIMARK(プライマーク)はオンライン販売を行っていないため、この日を待ちわびた客は開店時間よりも早く、各地の店舗に行列を作った。しかしこれはある程度予想されていた現象だ。IKEAやマクドナルドのドライブスルーの再開初日に、各店にできた長蛇の列はメディアで報道されていた。
ハイストリートに活気が戻ってきた一方、飲食店(テイクアウトを除く)・美容院・映画館・ジムなどは扉を閉ざしたままだ。政府のロードマップ(5月に発表された緩和計画)では早くても7月4日から再開とされている。また同じく6月15日から、電車やバスなどの公共交通機関でマスクを着用することが義務化された。
イギリスの制限緩和は新しいフェーズに入ったが、ソーシャル・ディスタンシング以外にも政府は様々なルールを導入、緩和してきた。その中から「友人や離れて暮らす家族と会う」ことに関するルール緩和の主な流れを追ってみると、以下のようになる。
5月13日〜:公園や公共の広場などの屋外で、2mの距離を保ち、別世帯の1名と会っても良い
6月1日〜:公園や自宅の庭などの屋外で、別世帯の人同士「最大6名まで」に緩和
6月13日〜:単身者や1人親は別の1世帯に訪問・宿泊が可能となり、2mの距離もとる必要はない
感染拡大防止には人と人との接触を減らすことが最も有効かもしれないが、実に細かい。一気に解除せず、1ステップずつ緩和していくところに「感染第2波を防ぐ」慎重な姿勢が現れている。先日も筆者の同居人が友人を家に招いていたが、リビングではなく庭の芝生の上でコーラを片手におしゃべりしていた。
感染症による死者が現時点で世界で3番目に多く、外出制限も比較的ゆるやかながら長期化したイギリス。国家統計局による12日の発表によると、イギリス国内の4月のGDP(国内総生産)は前月比20.4%という史上最大のマイナスを記録した。
経済の回復を急ぐ政府はここに来て、ソーシャル・ディスタンシング(社会的距離)の「2mルール」を見直すかどうか検討に入ると発表した。ソーシャル・ディスタンシングは各国で推奨されているが、その距離は国によって違いがあるのをご存知だろうか? カナダ・スペイン、そして日本はイギリスと同じ2m、アメリカは1.8m、ドイツ・イタリアは1.5m、フランス・中国では1mとされている。
(Sara Suzuki/London)
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