『不滅の恋人』
●同じ女性を愛した王子たちを描いたロマンス時代劇
歴史上の人物、首陽大君(後の第7代王・世祖)とその実弟・安平大君の争いをモチーフに、王子たちの恋と王座をかけた戦いを描いた王宮ロマンス。
・爽やかな弟をユン・シユン、野心家の兄をチュ・サンウク、兄弟に愛される娘をチン・セヨンが演じる 『不滅の恋人』その他の写真はこちら
15世紀の朝鮮王朝時代初期。貴族の娘チャヒョン(チン・セヨン)は、偶然の出会いにより王子のフィ=ウンソン大君(ユン・シユン)と愛を育んでいく。フィの兄カン=チニャン大君(チュ・サンウク)もチャヒョンに惹かれるものの、チャヒョンはカンを頑なに拒むのだった。そんな中、長男で王のヒャン(ソン・ジェヒ)が危篤に陥り、母で大王大妃シム氏(ヤン・ミギョン)はフィを跡継ぎに指名する。だが王座への野望を持つカンは叔父のヤンアン大君(ソン・ビョンホ)と共謀してフィを戦地に送り込み、チャヒョンをわがものにしようとしていた…。
●フィとチャヒョンのつかの間の恋
このドラマの見どころの一つは、過酷な運命に翻弄されながらもフィとチャヒョンがしっかりと愛を育んでいくところだ。共通の趣味である絵を描き、チャヒョンが男装して馬に乗り一緒に妓楼に行くなど、ラブラブな2人がとても可愛い。その後、フィは女真族の捕虜になり、やっとの思いで戻ってきたと思ったら、今度は無実の罪を着せられ逃亡生活を送るなど、とことんまで追い詰められる姿は涙なしでは見られない。フィを演じたユン・シユンは、食事制限に加え約6ヵ月間、減塩生活をして役作りに挑んだという。「フィは死んだ」と言われても最後まで信じて待つチャヒョンのひたむきさにも胸を締めつけられる。
●チュ・サンウクが初の悪役に挑戦!
そして、最大の見どころは、初の悪役とは思えないほどのチュ・サンウクの熱演ぶり。王座への野望や兄弟への冷酷さ、チャヒョンに向ける執着愛など、カンの複雑な心情を見事に表現している。粗暴なふるまいを見せながらもチャヒョンへの愛に苦しむ姿が時に悲しく、なぜか少しだけ共感してしまう。
また、カンの妻、ナギョム(リュ・ヒョヨン)の嫉妬心も凄まじく、ゾッとさせられる。カンお気に入りの芸妓、ヨギョン(チュ・スヒョン)の片目を失明させ、チャヒョンには濡らした薄紙を顔に1枚ずつのせるという拷問を行うのだ。
●モデルになった実在の大君たち
実際には兄のクーデターにより処刑されてしまった安平大君。せめてドラマの中では、幸せな結末になることを祈りたいものだ。(文:渡邉啓子/ライター)
『不滅の恋人』
テレビ東京:毎週月〜金曜日 午前8:15〜9:11 放送中
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