巣ごもり需要による家の中で映画や音楽を楽しむホームエンターテインメントの需要が高まり、同時に居住空間としてのリビングそのものを見直す動きも活発になっている。時間もあるしコストも抑えられることから、DIY需要も高まっており、ホームセンターでは木工品やペイント材などが伸びたという。
巣ごもり時代の間取り変更にもしなやかに対応。ボーエ・モーエンセンの多目的なコーヒーテーブル
ネットでの情報収集も活発化。じっくりとネットで本物志向のいいもの探しが行われたのだろう、「e-KENZAI」でも4月〜5月はアクセス数がぐんと上がったという。徳島の建材メーカー(株)カスコが運営する床材のネット販売サイトだが、この夏それを補強するように東京渋谷の神宮前に「e-KENZAI 東京ショールーム」もオープンし、勢いに乗っている。
カスコは、創業は大正10年に遡る建材の老舗だ。もともと東京からの引き合いが多かったが、これまではネット、電話、メールによる通販が主流で、サンプルの送付や出張でカバーしていたから、念願の出店といえるだろう。
オープンして2ヵ月ほど。このような状況下であるが、場所柄、感度が高い一般客が飛び込みで来店することが多くて驚くという。
「ご自身のライフスタイルやお気に入りの家具をお持ちで、いまのこんな暮らしをこれからはこのように変えたいという確固たる意思がうかがえます。カラーコーディネートどうこうというのではなく、ライフスタイルをごっそりまるごと変えたいというご相談が多いんです」(東京ショールーム担当・杉原仁氏)
ホンモノをより安くエンドユーザーに届けたい
カスコは、自ら企画したオリジナル建材を提携工場で生産し、直接販売するスタイルをとる。流通における中間マージンが省けることで一般客が安くいいものを手に入れられるし、新たなニーズに対応した新製品の投入も迅速にできるメリットがある。
材料は丸太からそのまま切り出した無垢のアカシアやバーチ、オーク材など30種類近く。また、仕上げもオイル仕上げやUV加工などバリエーション豊富だが、価格は¥2,980/㎡〜とリーズナブルだ。
カスコのウレタン塗装は艶を抑えたマットな仕上がりで無垢材特有の繊細な色ムラや節が生かされている。ワックス不要で手軽に無垢材を楽しめると近年人気だ。
一方オイル仕上げは、表面に塗膜を作るのではなくオイルを浸透させることで木材を保護するので、より無垢材の良さを楽しめる。カスコでは、植物由来の天然塗料を原料にしたドイツのオスモオイルを使用。使い込むほどに飴色となり、味わい深く愛着も増す。自然素材故に定期的に手入れすることで、古き良き日本家屋のよさを思い出させてくれる逸品だ。柄の出方も足裏の感触も無垢ならではのもので、幅90mmと120mmでも印象ががらりと変わる。
なお、瓦を製造・販売していた経験を活かし外壁タイルに応用した「瓦タイル」も商品化。粘度の異なる土を配合し微妙な窯変具合を残すことで、一般的な住宅建材と異なるアクセントが住宅に備わる。日本遺産を未来へ繋ごうという取り組みの一環でもある。
間取りを変えずとも床材でがらりとシーンチェンジ
「e-KENZAI 東京ショールーム」では、他の床材のショールームのように広い面積で見せる方法ではなく、半坪のフローリングをインテリアとともに提案するスタイルをとる。
白い扉のクローゼットには板状の各種フローリング材が収められており、要望に応じてスタッフが取り出し、コンクリート打ちっぱなしに見立てた床に並べてみせる。調光・調色可能な照明とともに、床の表情や部屋全体の雰囲気ががらりと変わるさまを目の当たりにすることになる。
スタッフがお客様とコミュニケーションを取りながら並べ、見て、触れてもらう“ショウ”を談笑しながら体感していく。
カスコの柏原弘明代表取締役社長は、こうした無垢材の良さを理解し設計やデザインに生かしている主要な年齢層は30代と分析。「その層に響くのであれば、ショールームが業者向けであるか一般のお客様向けであるかは関係ないと思うのです。無垢の良さを一緒に理解していただく見せ方を考え抜いた結果、この方法にたどり着きました」と語る。
自分の家なのだから、もっと自由に。この東京ショールームで住宅インテリアにも造詣が深い専門スタッフと相談しながら、たくさんある個性的な素材から自分を表現する床を選び取って欲しい。(文:fy7d)
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