大林監督遺作が国際映画祭で特別賞! 人間が正気を維持するための芸術の重要性訴えるファンタジー

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大林宣彦 映画
『海辺の映画館』演出中の故・大林宣彦監督の写真
(C)2020「海辺の映画館−キネマの玉手箱」製作委員会/PSC

大林宣彦監督の最後の映画作品『海辺の映画館−キネマの玉手箱』が、「第24回ファンタジア国際映画祭」でカメラ・ルーダシア部門の”審査員特別賞”を満場一致で受賞した。

『海辺の映画館―キネマの玉手箱』舞台挨拶 大林宣彦監督 | “Labyrinth of Cinema” Nobuhiko Obayashi (Director)

ファンタジア国際映画祭は、カナダのモントリオールで1996年から開催されている北米最大級の国際映画祭。アジア、ヨーロッパ、北米を中心に各国から厳選された作品を上映し、年々その規模を拡大してきた注目の映画祭のひとつだ。

審査員はコメントで次のように述べている。

「日本の戦争の歴史を、映画の世界を通じて振り返っていくという、遊び心に溢れたカオスな映画の世界観、そして劇中で描かれた“永遠の自由”の重要性に敬意を表し、審査員満場一致で大林宣彦監督の『海辺の映画館―キネマの玉手箱』に審査員特別賞を贈りたいと思います」

本作は、製作発表の前日に余命宣告を受けながら創りあげた、大林監督の遺言そのものといえる作品。映画は記録装置でなく“記憶”装置であるという黒澤明監督から「俺のつづきをやってよね」と言われたのを受けて作った大林流の戦争映画は、時を駆け巡りながら、日本の戦争の歴史の中に見る者を放り込み、体験させようというもの。塚本晋也監督「野火」とはまたひと味違った、体験型エンターテインメント作品となっている。同時に、映画を含めた芸術は、政治や経済と一線を画して、人間が正気であるために重要であることを訴える。昨今の社会状況でますますこの視点は重要視されるべきだろう。

『海辺の映画館−キネマの玉手箱』は全国の映画館で順次公開中だ。そして今後も世界の映画祭や各国の映画館で上映が進む。この受賞をきっかけに、より多くの人の目に触れることになればと願う。(文:fy7d)

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