おうちでシアターするなら目に優しく寛げる環境を。ルイスポールセンに学ぶ照明選びの視点
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巣ごもり時代を迎え家の照明も見直す時期に
24時間家にいる巣ごもりは、住宅のインテリアを見直す契機となっている。とくに夜のリビングで映画などのホームシアターを楽しむとき、画面への映り込みや視線への入光を避けながら、必要な場所に必要なだけ照明を配置することは寛ぐためにとても大切だ。
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そこでぜひ考慮して欲しいのが、ランプの形だけではなく、空間における光のあたり方や使い方。これは、きちんとしたショールームに足を運んで体験しなければ分からないのだが、実はいま照明環境を体験できる場所は少なくなっている。
そんな中オススメなのが、創業140年を超えるデンマークの照明ブランド、ルイスポールセン ジャパンが9月にリニューアルした東京ショールーム(東京・六本木 アクシスビル3階)だ。
見た目だけでなく機能も含めて照明「デザイン」
デザインとは本来、製品の意匠以前に機能美を指す。ルイスポールセン東京ショールームは、「Design to Shape Light」をコンセプトにした機能美に基づく質の高い光を追究した各製品を、シリーズごとに展示。さまざまな照明器具を組み合わせシーンコーディネートされたブースで見せていた従前の展示と比較して、各シリーズが生まれた理由や、その光が空間にもたらす世界観が伝わる仕組みになっている。光源からどのように配光され、眩しくなることなく必要な場所に必要な場所に明かりをもたらすことで居心地よい空間になるのかが直感的に理解できる。
エントランスを入ると、この秋復刻され日本初公開となった「PH セプティマ」(¥1,127,000/税抜)が鎮座。ポール・ヘニングセンが1930年前後に設計したもので、7枚のパイレックスガラス製シェードには光源が直接目に入らないように交互にサンドブラスト加工が施されている。骨組みの仕上げは無塗装の真鍮。上に載せられたガラス製のカップは、その美しい姿から「ガラスの王冠」と呼ばれるが、実は埃がランプに落ちるのを防ぐためのもので、単なる意匠ではない。豪華寝台列車「ななつ星in九州」でもボールルームに採用された名作、アーティチョーク着想の原点と言われている。
住宅やインテリアのショールームでよくダイニングに掛かっているPH 5とPH 5 miniも各色を展示する。これも1958年に開発され模倣品も多く出回っているが、本物をよく見直すと、ポール・ヘニングセンが開発した当初の名残で内部のリフレクター(光源を反射する板)には淡い赤と青の塗装が付されている。これは単なる意匠ではなく、白熱球の発する光では目が感じにくい赤と青を補うためのもの。とすると、LED光源になった今となっては実は不要である。モノトーン基調のモダンなインテリアが増えていることも考慮して、この秋、リフレクターの塗装をなくしマット仕上げとしたPH 5 モノクローム(¥104,000/税抜)とPH 5 ミニ モノクローム(¥77,000/税抜)が加わった。
六本木ショールームも実用的な照明配置
また、建築家の芦沢啓治によるオフィス部分の設えは、ルイスポールセンの照明設計同様、人中心の快適性を追求。シンプルでありながら、実際の照明がどのように使われるかべきかが一目瞭然となった。丸テーブルも実際に接客に使い、その快適性を体感できる。また、テーブル天板などできる限り従来の建具を流用して無駄を防ぐ取り組みも図られ、カウンター手前と奥のニッチの壁面には照明の陰影が映える漆喰の左官仕上げを採用するなど、空間を生かす照明の効用性を際立たせている。
とかく照明は軽視されがちだが、目に優しく映画に集中できる寛ぎの空間演出にとって、実は一番大切なもの。テレビの代わりにスクリーンの反射光で映像を楽しむ意味も含めて、目と光の関係についていま一度考えるきっかけにしたい。(文:fy7d)
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