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昨年のヴェネチア国際映画祭ワールドプレミアで上映され好評を博した『ライフ・イズ・カラフル! 未来をデザインする男 ピエール・カルダン』が10月2日から公開される。

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フランスの天才デザイナーも7月2日に98歳の誕生日を迎え、未だ現役。若い頃からクリスチャン・ディオールの立ち上げにも参加するなど、たびたび歴史的転換点を演出してきた。

ジャン・コクトーやジャン・マレと通じ、映画『美女と野獣』の衣装や仮面も担当したほか、独立してコスモ・コールと言われる宇宙服のような衣装はじめとする前衛的なデザインでブレークすると、ジョセフ・ロージー監督『エヴァの匂い』ほか多数の映画、舞台のコスチュームを手がけた。

デザインの対象はさらに広がる。オリンピックエアラインの客室乗務員のユニフォームに続き、椅子やテーブル、洗面や時計などのインテリアシリーズ「エヴォリューション」、さらにはスバッロのスタッシュをベースにしたスポーツカーやアトランティック航空のジェット機ウェスト・ウィンドの内外装へと及んだ。

前衛的なのはその作品だけではない。マーケットがあると思えば、直感的にそちらに舵を切る洞察力と行動力で、中国、ロシア、日本にもファッションを広めたほか、白人モデルがファッション業界を席巻していた70年も前から、黒人や日本人をモデルとして採用するなど、すでに“多様性”を自ら体現していた。

また、オートクチュールのみならずプレタポルテに初めて参入し、モードを特権階級専用から一般大衆がデパートで手に取れるものへと広めた立役者であり、世界初のメンズコレクションを確立したのも彼である。広告によるブランド戦略で、ライセンス商品を多数世に送り出す手法も彼の功績。日本人なら、ファッションにさほど興味がなくても、その名とロゴに覚えがあるだろう。

作中では、各界の著名人がインタビューに登場。モデルのナオミ・キャンベルや松本弘子のほか、弟子のジャン=ポール・ゴルチエが当時のエピソードを語る。そしてピエール・カルダン本人が「デザイナーに要求されるのは、丹念に服を作ることではなく、世の中を変えることだ」という言葉は印象的だ。

一時同棲していたジャンヌ・モローとの愛を赤裸々に語るなど、まさにプレイボーイ。人間的にも魅力のあるピエール・カルダンの生き様は、社会の分断が問題となっているいまこそ見直すべき視点だ。

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『ライフ・イズ・カラフル! 未来をデザインする男 ピエール・カルダン』は10月2日にBunkamura ル・シネマ、ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほかで全国公開。(文:fy7d)