地方出身ガールと都会派モテ男の恋愛観! インテリアも対照的な『恋は邪魔者』
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田舎出身シンデレラガールと都会のモテ男の欺し合い
『恋は邪魔者』は、レニー・ゼルウィガーとユアン・マクレガーが共演した2003年公開のアメリカ映画。監督は、ペイトン・リード。1962年のニューヨークが舞台のロマンティック・コメディだ。映画の中のインテリアという観点で見直してみよう。
・無機質で静謐なコーディネート、インテリアにも注目のサスペンス映画
アメリカ北東にあるメーン州出身の女流作家バーバラ・ノヴァク(レニー・ゼルウィガー)は、書き上げた自身の著作「恋は邪魔者」をPRするため、ニューヨークにやって来る。しかし男性誌「ノウ」の記者でモテ男のキャッチャー・ブロック(ユアン・マクレガー)は、その紹介記事を書くのを断る。ところがバーバラの本は大ベストセラーに。しかもバーバラは、女性の敵としてキャッチャーを名指しする。面目を潰されたキャッチャーは、“女性に恋愛は不要”というこの本の主張を覆すため、身元を偽ってNASAの宇宙飛行士ジップと名乗り、バーバラを誘惑すべく様々な計画を仕掛ける。そして遂に勝利したと思った瞬間、大どんでん返しが待っていた。
いまの時代にはちょっと違和感? 男は青、女はピンクのインテリア
本作では、1950年代風の衣装100着が話題となったが、実はインテリアに着目しても面白い。
もちろんそれぞれの空間は作り込まれたスタジオのセットだが、ブルーのソファベッドにマホガニー調の男の部屋と、カラフルでキッチュなピンクの女の部屋を極端に対照的に描く。
キャッチャーの部屋は全体に直線基調で、鮮やかなブルーのソファにムーディーな間接照明で、いかにも流行最先端をいく独身男子のマンションという印象。縦のルーバーの目隠しの反対側には、白い石造りの暖炉が備わっていて高級感もある。スイッチひとつでバーカウンターが出てきたり、ブルーのソファがベッドに早変わりするなど、プレイボーイならではの機能も満載だ。
一方、ニューヨークでのバーバラの部屋は、まばゆいばかりのホワイトの壁に大きなガラスをはめ込んだ大開口のペントハウス。真ん中には丸い暖炉があり、シェル型の丸みを帯びたショッキングピンクのチェアがバーバラの鮮やかなファッションと呼応する。壁にはパステルカラーの額が掛かって、単調になるのを防いでいる。
男と女を極端なブルーとピンクで対比する。コメディとはいえ、今ではこのような描き分けは共感を呼びにくいのかも知れない。
ヨーロッパ調の凝ったインテリアも登場。セレブの家の素材感や色の使い分けに注目
このふたつ以上にインテリアコーディネートとして目を惹く部屋がもうひとつある。キャッチャーが身元を隠してバーバラを誘うために一時的に交換した、キャッチャーの上司ピーター・マクマナスの家だ。
キッチンはヨーロッパのアンティーク家具を思わせる木調仕上げで、テーブルトップにはオレンジのルクルーゼの鍋が並ぶ。そしてリビングは、基本はアイボリー調だが、横ストライプの木調や石貼りで仕上げられ、鮮やかなグリーンの壁紙とカーテンが組み合わさる。黄金の置物が合わせてあったり、さすがはニューヨークの出版社社長ならではの一筋縄ではないコーディネートで、絵や骨董の趣味も一流なことを窺わせる。
随所にジャズが流れるが、エンドロールがまたミュージカル仕立てでオシャレ。最後の最後まで楽しませてくれる。このユアン・マクレガーとレニー・ゼルウィガーが歌う「Here’s To Love」は、特典映像で別バージョンを見られる。ユアン・マクレガーは『ムーラン・ルージュ』(01年)で、レニー・ゼルウィガーは『シカゴ』(02年)で見せた歌とパフォーマンスを本作でも存分に発揮。これも含めていかにもセットという感じのインテリアだが、キャッチャーやピーターの家の素材感や色の使い分け、テーブルランプや雑貨の配置には見るべきものがある。(文:fy7d)
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