死去でアメリカ政権に影響も。ギンズバーグ最高裁判事を振り返る3本
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2020年9月18日、フェミニズムのアイコンとして高い支持を集めていたルース・ベイダー・ギンズバーグ判事が死去した。アメリカでは、国の制度決定に大きな影響力を持つ最高裁判事の人事は高い関心事となっているが、その後任として、トランプ大統領が指名していたバレット判事が米連邦最高裁判事に就任することが決定。バレット判事は人工妊娠中絶に反対の立場を表明するなど、保守派として知られている。トランプ大統領は、この任期中に3人の保守系最高裁判事を指名。これで定員9人の最高裁判事のうち保守派が6人を占める事態となり、今後のアメリカの政治運営にも影響を与えることになりそうだ。
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ルース・ベイダー・ギンズバーグがアメリカ社会にもたらしたものとは何なのか。RBGの愛称で、アメリカのポップアイコンとなった彼女は、弁護士として、マイノリティーの権利獲得や、女性解放運動のために戦ってきた人物。1993年、ビル・クリントンの政権下で、女性として史上2人目となる最高裁判事に指名された。男子大学の女性排除、男女の賃金差別、投票法の撤廃などに、弁護士時代と変わらぬ視点から、法の下の平等の実現に向けて果敢に切り込んでいった。そんな彼女の素顔に迫ったドキュメンタリー作品が『RBG 最強の85才』だ。女性差別が日常的に行われていた時代の中で戦い続けたその人生、そして彼女を献身的に支えた最愛の夫とのエピソードの数々が胸を打つ。
そんな彼女の若き日をフェリシティ・ジョーンズ主演で描き出した劇映画が『ビリーブ 未来への大逆転』である。脚本を手がけたのは、主人公のルース・ベイダー・ギンズバーグの甥であるダニエル・スティエプルマン。彼女の人生を映画化したいと思い、ワシントンDCに出向いたスティエプルマンは、昼間は1960年から70年のルースの個人ファイルとアメリカ議会図書館をかたっぱしから調べ、夜は調査から生まれた疑問点をルースに質問することで本作の脚本を書き上げたという。ルース・ベイダー・ギンズバーグがいかにして法律の世界に飛び込んだのか。その背景がよく分かる。
ルース・ベイダー・ギンズバーグが尊敬し、規範としていたのが、アフリカ系アメリカ人として史上初めて合衆国最高裁判所の判事に任命されたサーグッド・マーシャルだ。抑圧された差別社会で、黒人の地位向上のために戦ってきたサーグッド・マーシャルだが、そんな彼の若き日を描いた法廷ドラマが『マーシャル 法廷を変えた男』だ。主人公のサーグッド・マーシャルを演じているのは、今年8月28日に急逝した『ブラックパンサー』のチャドウィック・ボーズマン。彼が感じた怒り、悲しみ、屈辱、そしてそこからもたらされる不屈の闘志といった感情がすべて内包された芝居は胸に迫るものがあり、あらためて彼が非凡な役者であったことを感じさせられる。(文:壬生智裕/映画ライター)
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