裸ネクタイBL!? 『まるだせ金太狼』の紅蓮ナオミのオススメはコレ！

「BLフェス」にて上映中『まるだせ金太狼』の原作者、紅蓮ナオミに注目！

『まる金』こと『まるだせ金太狼』の原作者、紅蓮ナオミは、他に類を見ない発想で、とんでもないギャグBLを生み出すありがたいBL漫画家だ！

紅蓮ナオミ原作による「まるだせ金太狼」の劇場短編アニメが、「BL FES!!-Boys Love Festival!!-」（通称BLフェス）にて、2020年12月11日より2週間限定公開されている（『イエスかノーか半分か』と併映）。

・マジでまるだし！ 痛快ギャグBL『まるだせ金太狼』レビュー

「まるだせ金太狼」は紅蓮ナオミ原作の「まさかの金太狼」の続編で、ぶっ飛んだ内容の学園コメディBLだ。祖父の遺言のために学園中から貞操を狙われることになった真琴と、彼を守る金太狼を描いている。金太狼の繰り出す必殺技がギャグに振り切ってて面白く、2人の揺るぎない愛もあふれていて、楽しくて幸せな気持ちになれるBLだ。

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端正で迫力もあるイラスト！ それでいて内容はお下劣なギャグ！

「まるだせ金太狼」が笑えるのは内容もさることながら、ものすごく画力の高い、とっても美麗な絵で描かれているところ！ 真琴は可愛くて、女の子っぽくなくてちゃんと男の子なのにかわいくて表情もいい。金太狼はとてもカッコよくて、胸板厚くて逆三角形の体格に惚れ惚れするほど。

これがイマイチな絵や雑に描かれていたとしたら、面白さは半減するはず。“菊門アタック”や“おいなりさん締め”など金太狼が繰り出す数々の珍妙な必殺技も、的確なデッサンでごまかしのきかない大きなイラストで豪快に描いてあるから面白さ倍増！ いや100倍！ 爆発的な笑いを生み出すのだ。

この画力で描いてあるからこそ面白く、この画力でギャグを描いてくれるのが嬉しい。尊敬してしまうほどだ。これだけの画力があればギャグ漫画以外でも通用するのに。いや、ギャグを軽視するつもりはない。大好きだし、尊敬している。しかし、世間的には軽く扱われたり、賞レースでもシリアスな感動作の方が注目されだちだ。それなのに、名誉欲などに誘惑されずにギャグを描いてくれる作家はすごい！ こよなくギャグを愛する者にとってはとてもとてもありがたい！

究極のクールビズ、裸ネクタイのクールなサラリーマンBL！

紅蓮ナオミは「まるだせ金太狼」以外でもぶれずにギャグを追求する作家だ。どんな受けでも攻めにしてしまうぐらい抗いがたい魅力を持った、“スーパー攻め様”ならぬ“スーパー受け様”を描いた「スーパー受様 開」も面白いけれど、ギャグへの振り切れ具合に笑ったのがコレ！ BLアンソロジー「裸BL」に収録されている「ノースーツデーはネクタイだけで」だ。短編ながらそのインパクトで、発売された当初は話題となった。

サラリーマンたちのオフィスラブを描いた作品なのだが、設定が常軌を逸していて「ノースーツデー」なのだ！ いいか？ ノースーツデーだぞ!? ノーネクタイではない、ノースーツだ!!

登場人物たちのいでたちはシャツやスーツは着ずに裸の上にネクタイだけ！ そりゃこれ以上ないクールビズだろう。あり得ない状況だが、裸ネクタイのリーマンたちがオフィスで大真面目に仕事しているのだ。ご丁寧にピンでネクタイを局部に留める説明までしてある。

笑いと萌えが大渋滞！ 真面目なバカバカしさに元気をもらえる作品群

大真面目というのも紅蓮ナオミの作品の大事なところで、とんでもない状況なのに当事者たちはふざけもせずに至って真面目に立ち振る舞う。それがめちゃくちゃ可笑しい。それに、こんなの出オチでしょ？ と思うかもしれないが、テンション下がることなく随所に笑いが散りばめられており、ププッと吹き出しっぱなし。なおかつボーイズラブとしてもしっかりと成立しているのが良い。可愛げある主人公と気になるクールな同僚のやりとりにキュンキュンしちゃうのだ！

攻めが受けを守るシーンは萌え度が急上昇し、ツンデレがデレる瞬間には思わずニヤニヤ！ 笑いもラブストーリーとしてもクオリティの高いBLだ。読んでいると笑いと萌えが渋滞して、日常の嫌なことなど吹っ飛んでしまうはず。

『まるだせ金太狼』を見て気になった人は、ぜひ紅蓮ナオミの他の作品もチェックしてみてほしい。原作の「まるだせ金太狼」も「ノースーツデーはネクタイだけで」も笑いと愛にあふれてて元気になれること間違いなし！ 紅蓮ナオミは突出したギャグもBL要素も両立させる技に長けたありがたい作家なのだ。（文：牧島史佳／ライター）