新型コロナウイルスの感染拡大が懸念され、ステイホームが推奨される年末年始、家で楽しみたい配信サービス「Netflix」のおすすめ映像作品をご紹介する。
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メリル・ストリープの演技は必見!映画『ザ・プロム』
Netflixは2020年、韓国ドラマ『愛の不時着』や『梨泰院クラス』が社会現象並みの大人気を博したが、それ以外にも見逃せないコンテンツがたくさんある。
ハッピーな気持ちになれるのはミュージカル映画『ザ・プロム』。ドラマ『glee/グリー』などを手がけたライアン・マーフィー監督がメリル・ストリープ、ニコール・キッドマン、ジェームズ・コーデンを起用した作品で、起死回生を図るかつての人気舞台俳優2人と、田舎町でプロム参加を目指す女子高生のカップルの物語だ。
心血を注いだ新作ミュージカルがブロードウェイで大失敗してしまった落ち目のミュージカル・スター、ディーディー(ストリープ)とバリー(コーデン)は保守的なインディアナ州の町で、同性カップルでのプロム参加を禁じられた女子高生エマの存在を知り、自分たちのイメージアップ狙いで“エマを助ける”ために町へ乗り込む。後輩の俳優アンジー(キッドマン)とトレント(アンドリュー・ラネルズ)も同行し、4人は町の実情に直面するうちに本気でエマに協力を始める。
必見はなんといっても、御年71歳のメリル・ストリープのパフォーマンス。『イントゥ・ザ・ウッズ』でも共演しているコーデンと息の合ったコンビぶりを披露し、“キラキラで賑やか”という、我々が今冬は我慢しなければならない分まで弾ける様を、時に圧倒されつつ楽しんでもらいたい。
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『市民ケーン』の秘話描く『Mank/マンク』
ゲイリー・オールドマンが、『ゴーン・ガール』やNetflixオリジナルシリーズ『マインドハンター』のデヴィッドフィンチャー監督と組んだ『Mank/マンク』は、映画史に燦然と輝く不朽の名作『市民ケーン』の脚本執筆の背景を描く。
『市民ケーン』監督・主演のオーソン・ウェルズと共同脚本としてクレジットされているハーマン・J・マンキーウィッツの伝記映画で、“マンク”の愛称で呼ばれるマンキーウィッツをオールドマンが演じる。
1941年公開の『市民ケーン』は、時の新聞王ウィリアム・ランドルフ・ハーストをモデルにした架空の人物チャールズ・フォスター・ケーンの物語だが、若くして成功を収め、大豪邸に暮らし、権力と金の力に任せて年若い愛人をスター女優にしようとするエピソードなど、誰が見てもハーストのことだとわかる描写が物議を醸した。
『市民ケーン』の脚本については諸説があり、実は共同脚本ではなくマンキーウィッツがほぼ全編を執筆したとも言われているが、本作はその説を選択し、牧場に缶詰状態で執筆するマンキーウィッツの現在と、1930年代に『市民ケーン』のベースとなる体験をする過去が交互に描かれる。
モノクロ映像、往年の映画を思わせるフィルム交換マーク(デジタル撮影なのに)やアナログ録音のような音響など、フィンチャーらしい凝った作りに、オールドマンの怪演がハマり、見応えがある。脚本はフィンチャーの父でジャーナリストだったジャック・フィンチャーが遺したもの。『市民ケーン』を見て、当時のハリウッドの人間関係を軽く予習しておくと一層楽しめる。
米国史上最も理不尽な裁判描く『シカゴ7裁判』
Facebook創業を描いた『ソーシャル・ネットワーク』などの脚本を手がけたアーロン・ソーキンが監督を務めた『シカゴ7裁判』は、エディ・レッドメインやマーク・ライランスといったオスカー俳優やサシャ・バロン・コーエン、マイケル・キートンら実力派がキャストに揃う。
1968年8月、大統領選を控えて民主党の全国大会が開かれたイリノイ州シカゴでベトナム戦争反対を訴える抗議集会が開かれた。そこで暴徒化した群衆と警察が衝突し、多数の負傷者が出たことで起訴されたデモ参加者8名(のちに1名が外れて7名となる)、通称「シカゴ・セブン」たちを描く群像劇だ。
個性の強い被告たちそれぞれの主張や、実録映像を交えたリアリズムあふれる映像に、ソーキン作品らしい皮肉の効いたセリフの応酬に引き込まれる。人種差別、人権など現代にもつながるテーマがあり、自分たちが生きる“今”と重ねて見ることもできる。
天才チェス少女の物語『クイーンズ・ギャンビット』
時間に余裕のあるこの時期にイッキ見をお勧めしたいシリーズは『クイーンズ・ギャンビット』。1950~60年代を舞台に、天才的なチェス・プレイヤーの少女の物語が全7話で描かれる。
孤児になり、施設で暮らし始めた少女ベスが用務員の手ほどきでチェスの才能を開花させ、男性優位のチェスの世界で成功を収めていく過程は痛快だが、同時に天才の孤独と内なる悪魔との戦いといった主人公の心理を掘り下げていくドラマは深い。
複雑な内面を抱えながら貪欲に道を切り拓くヒロインを演じるアニャ・テイラー=ジョイ(『ウィッチ』『スプリット』)の強さが印象的。チェスを教えた用務員を演じたビル・キャンプ、ステージ・ママのような養母を演じたマリエル・ヘラー、好敵手のベニー役のトーマス・ブロディ=サングスター(『ラブ・アクチュアリー』)をはじめ、名演を見せるキャストにも注目。
あの敵が主人公!? 『ベスト・キッド』の正統続編『コブラ会』
当初はYouTubeで配信されて人気作となった『コブラ会』は、80年代の大ヒット映画『ベスト・キッド』シリーズの正統続編。
『ベスト・キッド』で主人公ダニエル(ラルフ・マッチオ)に負けて以来、30年以上も惨めな生活を送ってきたジョニー(ウィリアム・ザブカ)が、不良グループに暴行されていた高校生ミゲルを助け、彼から空手を教えてほしいと請われたことから、かつて所属していた空手道場「コブラ会」を再び立ち上げる。
ジョニーはその日暮らしの便利屋稼業で、離婚して安アパート暮らし。一方ダニエルは自動車セールス会社で成功をし、家庭にも恵まれた地元の名士。かつての敵役が主人公という発想の転換が面白い、負け犬の再生物語だ。
製作総指揮を務めるマッチオとザブカが34年前と同じ役を演じるほか、脇役にもオリジナルキャストが登場し、さらに現代の若者たちを演じる俳優たちもフレッシュな才能が揃う。
現在はシーズン2まで配信されているが、1月にシーズン3が配信開始予定。今からキャッチアップして、新シーズンに備えるのもいいかもしれない。
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