2020年、コロナ禍は映画界にどんな大変化をもたらしたのか?

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『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』
『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』
(C))吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable

『鬼滅の刃』1日42回上映した映画館も!

コロナ禍は日本の映画界に2つの現象をもたらした。1つめはシネコンでの上映回数増。通常は1スクリーンで1日5回のところ、『今日から俺は!! 劇場版』が発端で、公開直後から1~2週間は上映回数を1日10回以上に増やした。公開された7月17日は映画館の入場制限の真っ最中。映画館は全国的に6月に再開されたものの客足は鈍く、『るろうに剣心 最終章』2部作や『劇場版ポケットモンスターココ』など公開を延期する夏映画が多かった。配給元の東宝は興行会社へ「できるだけ上映回数を増やしてほしい」と依頼。多くのシネコンでは大ヒットの可能性を感じ、上映スクリーン数を2~3使い、上映回数を1日10回以上に増やした。翌週に公開された『コンフィデンスマンJP プリンセス編』も1日10回以上の上映回数だ。

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上映回数増が最大化したのが『劇場版『鬼滅の刃』無限列車編』だ。『今日俺』『コンフィデンスマンJP』は映画館の入場者を半分に制限されていたため、上映回数を2倍以上にしたわけだが、『鬼滅の刃』公開時は全席の販売が可能になった。館内の食事が禁止となるものの(飲み物のみ可能)、TOHOシネマズやユナイテッドシネマなど大手シネコンチェーンでは全席販売で対応した。

上映回数を増やしたのは、前売り券の売れ行きなどから驚異的な集客が事前に予想されたたため。10回以上は当たり前で、20回を超えるシネコンも多くあった。日本最大級の動員を誇るTOHOシネマズ新宿では公開初日の10月16日に朝7時から深夜26時50分の上映回までで42回、17日は41回、18日は35回。上映回数の多さがSNSで話題となった。2週目以降も同じ対応をとるシネコンが多く、歴代興収新記録をスピード達成する後押しとなった。

新作映画のデジタル配信に映画館団体が抗議

2つめはデジタル配信。アメリカほどではないが、劇場公開と同時にデジタル配信されたり、公開せずに配信される作品が出た。又吉直樹の小説の映画化『劇場』が劇場公開と同時にアマゾン・プライムで配信されたり、スタジオコロリド製作のアニメ『泣きたい私は猫をかぶる』は公開されずにネットフリックスで配信された。

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映画界で物議を呼んだのが『Fukushima50』。3月6日公開で4月17日から配信を開始した(料金1900円のレンタル制)。300館規模の邦画大作だったことから(映画館の団体である)全興連がKADOKAWAに抗議する事態となった。

なお、12月15日に行われた東宝の21年ラインナップ発表会で、東宝の吉田充孝映画営業部長は「業界全体は、例年45%のシェアを持つ洋画がほぼなくなり、10億円を超えた洋画は4本のみ。年間で昨年の2611億円の50%前後、1350億円前後を見込む」と述べている。(文:相良智弘/フリーライター)