1月3日は「駆け落ちの日」、 少年少女の恋の逃避行を描いた3本
#ウェス・アンダーソン#ムーンライズ・キングダム#奥菜恵#小さな恋のメロディ#山崎裕太#岩井俊二#打ち上げ花火、下から見るか? 横から見るか?
一般的に正月というのはめでたい日であり、心身ともに新たな気持ちで1年を迎えようと誓いを立てる日となっている。だが雑学的にいうと、実は1月3日は「駆け落ちの日」なのだとか。1938年1月3日、女優の岡田嘉子と演出家の杉本良吉が樺太の国境を越えてソ連へ亡命したことから、この日が「駆け落ちの日」と呼ばれるようになったという。それにちなみ……というわけではないが、今回は少年少女時代の「駆け落ち」をテーマとした映画を紹介したい。子どもの頃の純粋な気持ちを思いだしながら、正月を迎えるのも悪くないかもしれない。
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ボーイスカウトを抜け出して恋の逃避行!『ムーンライズ・キングダム』
ウェス・アンダーソン監督の『ムーンライズ・キングダム』は1965年のニューイングランド沖にある小さな島が舞台。12歳の少年サムが、同じ歳の少女スージーと出会い、恋に落ちる。そして二人は1年間の手紙のやりとりを通じて、密かに駆け落ちの計画を練る。やがて二人はその計画を実行するが、二人がいなくなったことに気付いた大人たちは大慌て。二人を連れ戻そうと追跡劇がはじまった――。ウェス・アンダーソン監督ならではのポップな色彩と美術の中で繰り広げられるふたりの逃避行はホッコリと温かい気持ちになる。
・ラブストーリーからパニック映画、追跡劇へと次々に表情を変えるキュートな1本
日本で大ヒットした愛らしいイギリス映画『小さな恋のメロディ』
1971年のイギリス映画『小さな恋のメロディ』も、そのタイトル通り、子どもたちの恋路を描いた作品だ。ロンドンのパブリックスクールに通う11歳のダニエルは、そこでメロディという名の少女に出会う。そしてお互いの悩みなどを打ち明けていくうちに、二人はどんどん意識し、惹かれ合う。やがてふたりは結婚を意識し、無理解な大人たちを尻目に駆け落ちの旅に出る……。日本で公開されるや大ヒット。メロディを演じたトレーシー・ハイドが、アイドル的な人気を誇る大スターとなった。その後もテレビで放映されるたびに話題を集めるなど、世代を超えて受け継がれる名作となった。
美少女・奥菜恵が魅力的『打ち上げ花火、下から見るか? 横から見るか?』
そして最後は岩井俊二監督の名を世に知らしめた『打ち上げ花火、下から見るか? 横から見るか?』を紹介したい。1993年にテレビドラマとして放送された同作で、岩井監督は日本映画監督協会新人賞を受賞。1995年には劇場公開もされた。小学生のなずなは、両親の離婚により転校することが決まっていたが、そのことに反発。同級生の典道と祐介がプールで競争する姿を見て、勝った方と駆け落ちをしようとひそかに賭けをする。もしも典道が勝ったら――? もしも祐介が勝ったら――? 運命の分岐点から派生した2つのストーリーが描き出される。典道役の山崎裕太、なずな役の奥菜恵らが見せるみずみずしい演技、ノスタルジックな映像美など、今なお色あせない魅力がある。(文:壬生智裕/映画ライター)
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