民主主義の危機訴える動画が450万再生
6日(現地時間)にアメリカの連邦議会議事堂で起きた暴動事件を受けて、アーノルド・シュワルツェネッガーが10日(現地時間)、SNSにアップしたメッセージ動画が再生回数450万回に迫る(日本時間12日午前現在)大反響を呼んでいる。
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7分以上ものスピーチは、「移民の1人として、アメリカの同胞や友人、世界に向けて、最近起きた出来事について伝えことがあります」という言葉から始まり、オーストリア出身のシュワルツェネッガーが1930年代のナチスによるユダヤ人襲撃事件を引き合いに出して、暴徒化したトランプ支持者の一部が国会議事堂を襲撃したことを批判、嘘を重ねていくことの危険性と民主主義を守ることの大切さを訴えた。
「私はオーストリアで育ちました。私は水晶の夜(クリスタル・ナハト)についてよく知っています。それは1938年に行われたナチスによるユダヤ人を襲撃した夜のことです」と語ったシュワルツェネッガーは、ナチスについて「プラウドボーイズ(米国の極右団体)に匹敵する」と表現した。
My message to my fellow Americans and friends around the world following this week's attack on the Capitol. pic.twitter.com/blOy35LWJ5
— Arnold (@Schwarzenegger) January 10, 2021
水晶の夜は英語では「割れたガラスの夜」と訳されていることから、シュワルツェネッガーは「水曜日はアメリカの“割れたガラスの日”でした」と続けた。
「割れたガラスはアメリカ合衆国の国会議事堂の窓にありました。しかし、暴徒はただ議事堂の窓を壊したのではなく、私たちが当たり前と思っていた理想を壊したのです」
6日にワシントンD.C.に集結したトランプ大統領支持者たちは、集会での大統領の発言を受けて一部が暴徒化、議事堂のバリケードを突破し、下院会議室に到達。物を壊したり、議員のオフィスを占拠し、警備に当たっていた警察官を含む5人が死亡する大惨事となった。
「彼らはアメリカの民主主義を収容する建物のドアを破壊しただけではありません。彼らは、私たちの国が建国された原理そのものを踏みにじったのです。私は民主主義を失って苦しんだ国の廃墟の中で育ちました。私は1947年、第二次世界大戦の2年後に生まれました。私は、歴史上最も邪悪な政権に加担したことへの罪悪感から酒に溺れて壊れた男たちに囲まれていました。彼ら全員が狂信的な反ユダヤ主義者やナチスというわけではなかった。ただ、一歩ずつ道を進んでいったのです」
「全ては嘘を重ねること、そして不寛容から始まったのです。私はヨーロッパで、いかにして物事が制御不能になっていくかを直接目にしたのです」
第二次世界大戦終戦後の1947年にオーストリアで生まれたシュワルツェネッガーは、過去の記憶に苦しんだ実父から受けた暴力について言及し、それが自分の家族だけのことではなく、当時の多くの家庭が抱えていた問題だったと語った。
アメリカに移民したシュワルツェネッガーは共和党員であり、俳優として成功を収めた後に2003年11月から2011年1月までカリフォルニア州知事を務めた。
シュワルツェネッガーはトランプ大統領について「彼は嘘で人々をミスリードし、クーデターを求めた」「トランプ大統領はリーダー失格です。史上最悪の大統領として歴史に名を残すだろう」と断じた。そして、この数日間で「何が失われるか」を理解したことで、人々はより強くなると信じていると発言。
バイデン次期大統領に「心から支えます」とエール
「私たちは過去の自分自身、政党、意見の相違を見て、民主主義を第一に考える必要があります。私たちは共に、起きたばかりのトラウマを癒さなければならない。共和党とか民主党としてではなく アメリカ人として癒す必要があります。そしてこのプロセスを始めるにあたって、政治的な立場にかかわらず、ともにバイデン次期大統領に伝えたいと願います。『私たちの大統領としての大成功をお祈りします。あなたが成功すれば、私たちの国も成功します。アメリカを再び一つにしようとするあなたを、私たちは心から支えます』」と語った。
ジョー・バイデン次期大統領はシュワルツェネッガーの動画をリツイートした。民主党員であるバイデン氏は大統領選期間中から現在に至るまで、共和党員によるSNS投稿にはほとんど反応せずにきたが、今回は例外となった。
It was fantastic to talk to President Elect @JoeBiden today about bringing the country back together. I’m here to help in any way I can.
— Arnold (@Schwarzenegger) January 11, 2021
シュワルツェネッガーは日本時間12日朝のツイッターの最新投稿でバイデン氏と対話の機会があったことを公表、「次期大統領のジョー・バイデンと今日、国を1つにすることについて話すことができたのは素晴らしいことでした。私にできる協力は何でもする」と綴った。
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