ヴィスコンティ! カミュ! マストロヤンニ! カリーナ! 幻の『異邦人』緊急公開
#アンナ・カリーナ#ボヘミアン・ラプソディ#マルチェロ・マストロヤンニ#ルキノ・ヴィスコンティ#名作#異邦人#アルベール・カミュ
未ソフト化のヴィスコンティ幻の名作
『ベニスに死す』、『山猫』のルキノ・ヴィスコンティ監督による幻の名作『異邦人 デジタル復元版』が3月5日に劇場公開されることが決まった。
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今年3月で没後45周年を迎えるヴィスコンティ監督の長編8作目となる本作は、英語版で1968年9月に初公開され、大きな反響を呼んだ。
しかしそれ以降は、1970年代に短縮日本語吹き替え版がTV放映された以外は、権利関係が複雑なことや映像原版の散逸等により、ソフト化されておらず、ヴィスコンティ特集等の限定上映でお目に掛かる程度だった。今回の上映は、各映像素材を最新技術によってデジタル復元することで実現にこぎつけた。
原作の著者アルベール・カミュは、現在のコロナ禍を予言したかのような「ペスト」で1957年にノーベル文学賞を受賞。『異邦人』の原作が発表された1942年はヴィスコンティ監督のデビュー作『郵便配達は二度ベルを鳴らす』の公開と同じで、ヴィスコンティは早くから映画化の希望をカミュに直接伝えていたという。
また、本作の主人公の不条理な言動は、クイーンの名曲「ボヘミアン・ラプソディ」の歌詞とも類似しており、元ネタとしても昨今ふたたび話題となっていた。
なお、イタリア語での日本公開は初めて。
マストロヤンニとカリーナで描く社会の不条理
本作は、人間社会の不条理を描く。
第二次大戦前のアルジェ、会社員のムルソー(マストロヤンニ)は母の訃報を受け取る。遺体安置所で彼は遺体と対面もせず、埋葬の場でも涙を見せなかった。その翌日、偶然再会したマリー(アンナ・カリーナ)と海水浴に行き、映画を見て一夜を共にしたが、その後友人とトラブルに巻き込まれ、預かったピストルでアラブ人を射殺してしまう。「太陽がまぶしかった」という以外、ムルソーにも理由は分からない。裁判所の法廷では殺害については何も言及されず、ムルソーの行動は非人間的で不道徳であるとして、死刑を宣告される……。
難解な主人公ムルソー役には、フェデリコ・フェリーニ監督『甘い生活』、『8 1/2』や、本年リバイバル上映されたヴィッドリオ・デ・シーカ監督『ひまわり』のマルチェロ・マストロヤンニ。恋人役は、ジャン=リュック・ゴダール監督『気狂いピエロ』などに出演し、2019年12月に逝去したアンナ・カリーナである。
『異邦人 デジタル復元版』は3月5日公開。
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