ゴジラ映画の全米公開を前倒し、コロナにあえぐ映画業界で異例の配給戦略

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ゴジラ

映画館が約7割休業で 回復の兆しが見込めない映画界

1月15日(現地時間)、ワーナー・ブラザースは、ゴジラとキングコングが激突する『GODZILLA VS. KONG』(原題)の米国公開日を5月21日から3月26日に変更すると発表した。

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これに先立つこと1月11日、ソニーピクチャーズは、スパイダーマンの悪役モービウスを主人公にした『モービウス』の米国公開日を3月19日から10月8日に延期すると発表している。ソニーは「新型コロナウィルスの感染拡大が続く中、3月の公開では満足な興行が行えない」と判断したと推測されるが、逆にワーナーはなぜ公開を約2ヵ月早める異例の配給戦略と取ったのか。

ワーナー作品は米国では劇場公開と当時に動画配信サービスHBO Maxで配信される。2ヵ月早くHBO Maxに投入することで会員増につなげる狙いがあったと推測される。

また5月には新作がひしめきあっていた。

5月7日公開『ブラック・ウィドウ』(マーベル映画新作)
5月14日公開『モンスターズ・リーグ』(モンスターと人間が共存する世界を描くアニメ映画)
5月21日公開『フリーガイ』(ライアン・レイノルズ主演のアクション映画)
5月28日公開『クルエラ』(エマ・ストーンが『101匹わんちゃん』の悪役クルエラに扮したディズニー作品)
5月28日公開『ワイルド・スピード/ジェット・ブレイク』(シリーズ9作目)

このため、ワーナーはライバル作品が多い5月を避けたと思われる。

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映画業界紙バラエティの報道では、コロナ禍で米国の映画館の約65%が休業中だという(大都市部のニューヨークやロサンゼルスを含む)。21年に入っても映画興行の回復はいまだ見通せない。昨年同様、劇場公開と同時にデジタル配信されたり、公開せずに配信される作品が多くなるかもしれない。(文:相良智弘/フリーライター)