子育てに関する学びと気づきが得られる5分動画
棋士の藤井聡太やAmazonのジェフ・ベゾス、Facebookのマーク・ザッカーバーグ、アンネ・フランクやバラク・オバマ元アメリカ大統領らが受けたとされるモンテッソーリ教育。これまであまり知られていなかったその現場にカメラを入れじっくり観察したドキュメンタリー映画『モンテッソーリ 子どもの家』が2月19日に公開となる。この度、日本語吹替を担当した本上まなみと向井理のナレーション入り本編映像が公開された。
・藤井聡太やオバマ元大統領らを輩出! 話題の教育法・モンテッソーリとは?
この本編映像は、「子どもは“お仕事”が好き」「子どもは嫉妬しない」「子どもの“集中現象”」「子どもに褒美や罰を 与えない」「子育てにマニュアルなどない」といったモンテッソーリ・メソッドの重要な部分がわかる5つのシーンを抜粋したのもの。創始者マリア・モンテッソーリ役の本上が、「お仕事」と呼ばれる教具などを使った作業に没頭する子どもたちの姿を見守るかのようにメソッドを紡ぐ。また向井は、密着取材して撮影したアレクサンドル・ムロ監督の言葉を愛情込めて語りかける。5分弱の短い映像ながら、これだけでも子育てに関する多くの学びと気づきが得られるであろう。
「子どもは自らの成長力で、自立した人間になる」
映画の舞台は、北フランス・ルーベにあるフランス最古のモンテッソーリ幼稚園。クリスティアン先生のもと、2歳半〜6歳の28人の子どもたちが同じ教室で学んでいる。子どもたちの活動を妨げないように用いられた小型カメラは、静かに注意深く子どもたちを観察し、彼らの自然な表情や伸び伸びとした姿を2年3ヵ月にわたって記録。ユニークな教具を自らが選んで遊び、水差しの中身を測ったり、花の茎をハサミで切ったり、パズルをしたり……これらが幼稚園での彼らの「お仕事」だ。見る者は、その過程で訪れる魔法のような数々の瞬間を目の当たりにすることになる。
モンテッソーリ教育は、20世紀初頭にイタリアの女性医師マリア・モンテッソーリが障害児の治療法に着想を得て脳科学と実体験から確立した教育方法である。「子どもは本来、自分の中に成長していこうとする生命力を持っていて、適切な時期に、適切な環境が与えられれば自分で成長する」のだから、大人は自分一人でできるように最小限の援助をすれば良いとする。子どもの成長過程で感受性がとくに高い「敏感期」は概ね6歳までとされるが、この時期は、同じことを集中して何度も繰り返しながら自分が納得いくまで課題に取り組む(子どもの集中)ことで、充実感や自信をもって成熟していく(自立)からだ。
そこで、子どもたちは幼稚園で、「日常生活」、「感覚」、「数」、「言語」、「文化」の5つの領域に分かれた子どもの発達を助ける「教具」を選び、人間を形成するための「お仕事」をする。大人は、子どもが何に興味を持っているかをよく観察し、必要最小限の手伝いをしながらゆっくり丁寧に教える。それにより、一人ひとりが、自分の発達に合った環境で好きなことを集中しながら学ぶことができる。自分なりの試行錯誤の過程で意思が生まれ、作業の成熟によってそれが達成できるようになり、やがてどんな環境に置かれても適応しながら自信を持って生きていけるようになるというわけだ。
リモート時代を迎え家庭での教育のあり方がより比重を増す中で、どういった日々の積み重ねが変化の激しい時代を生き抜く糧になるのか? 子育て世代ならずともヒントにできそうな映画だ。(文:fy7d)
『モンテッソーリ 子どもの家』は2月19日全国公開。
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