『囀る鳥は羽ばたかない7』特装版のDVDレビュー! おすすめ度は?

#BL#ボーイズラブ#ヨネダコウ#囀る鳥は羽ばたかない

コミック『囀る鳥は羽ばたかない 7 アニメDVD付き限定版』
ヨネダコウ・著 大洋図書
コミック『囀る鳥は羽ばたかない 7 アニメDVD付き限定版』
ヨネダコウ・著 大洋図書

人気BL『囀る~』の新刊発売! 早速、特装版のDVDアニメをチェック!

BLファンから神作家とリスペクトされるヨネダコウが連載中のBLコミック『囀る』こと、『囀る鳥は羽ばたかない』。裏社会を舞台に淫乱でドMな矢代と、無口で不器用だが従順な百目鬼(どうめき)を描き、劇場アニメ化もされた人気作だ。同コミックの新刊7巻が3月1日に発売。通常版とアニメDVD付きの特装版が同時発売となった。

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前巻6巻は、読む方は胸が苦しくなるような切なく辛い終わり方だった。7巻では新章がスタート! 矢代はどうなったのか、百目鬼はどうしているのか、果たして2人は…!? 気になる展開は新刊でぜひどうぞ。今回はこの新刊7巻の特装版の特典であるDVDアニメ『囀る鳥は羽ばたかない Don’t stay gold』のレビューをお届けしよう。

『囀る』の前日譚的な『Don’t stay gold』のアニメ化

原作コミックスの1巻のはじめに収録されている『囀る』の前日譚というべきか、エピソード0的な『Don’t stay gold』のアニメ化だ。矢代の同級生で腐れ縁の影山とチンピラのような青年・久我が描かれる。この『Don’t stay gold』では脇役だった矢代をメインに描いた『囀る』の方が、いわばスピンオフと言える作品。『Don’t stay gold』はこれがなければ『囀る』は生まれなかった『囀る』にとって重要な位置の作品だ。

矢代の旧友であり、小さな医院の町医者・影山は、矢代を通してチンピラのような青年・久我と出会う。久我は暴力性をはらんでいて、キレると危ないヤバいヤツだった。しばらく久我を預かることになった影山は、久我の体には親につけられた無数のタバコの火傷の痕があることを知る。人を平気で傷つける狂気と、傷つきやすそうなナイーヴな面と両方を合わせ持つ久我に、影山は強烈なほどに惹かれてゆく。

『囀る』の劇場アニメ版と同じく、今回のアニメ化も原作のイメージを壊さない。ジャジーなピアノやドラムによる曲も劇場アニメ版と同じで、スタイリッシュな雰囲気を保っている。尺の長さ的にも全編24分もあるし、劇場アニメ版よりもさらに原作に忠実と言える。なんなら原作では手書き文字でちょこっと書かれているセリフまで拾って隅々までアニメ化されていた。

ちょっとしたシーンも他の重要なシーンと同じ熱量でアニメ化されているので、このカレーのやり取りがそんなに大層なシーンだっけ? となるところも無きにしも非ずだが、たっぷりと見られるのはファンには嬉しいところだろう。

原作通りのエロシーン、アニメ化でさらに…!

この物語のキモである久我の魅力もヤバいくらいに伝わってきた。触れると自分も相手も傷つけてしまいそうな危険な空気を漂わせつつ、無垢で純粋な部分も感じさせる久我。さらにときおり覗かせる色気は抗えないほどの魅力があって、ゲイではない影山が入れ込んでしまうのもよくわかる。エロシーンは原作からして激しくはないし多くはないのではあるが、もちろん割愛などせずに原作通りアニメ化されているし、アニメなら動きと音もあることもあって原作よりもエロさが増したぐらいに感じた。

影山久我カプが好きなファンには十分満足できることだと思う。ファンは買って損はないだろう。

矢代と百目鬼のアニメDVDも見たくなってしまう!

と言いつつ、影山久我カプ推しは『囀る』ファンのなかでどのくらいの割合で、影山久我カプにはどのくらい需要があるのだろうか? とも思う。そもそもこのDVD付きの特装版は予約受注生産だったはず。それがいつの間にか予約なしで発売となったようだ。予想に反して予約数が少なかったためか、逆に予想外に多かったために予約なし販売にも踏み切ったのか。どちらかはわからないけれど、正直なところ筆者は通常版にするか購入を迷った。もちろん影山久我カプは嫌いじゃないし見たい気持ちはあるが、BLコミックスが6~7冊ほど買えるほどの価格と天秤にかけると迷うところだったのだ。

これが矢代と百目鬼のエピソードなら迷わずに買ったところなのだけれど。たとえ、海水浴に行ったり水族館デートに行ったりなどという本編とはあまり関係ない他愛もないエピソードだったとしても。本編が辛いからこそ、それもいいかもしれない。あ~、書いているとすごく見たくなってきてしまった! 矢代と百目鬼のゆるゆるエピソードのアニメDVDもプリーズ!

今回の影山久我カプのアニメのなかでも、矢代の登場シーンが筆者には印象に残った。とくに、影山への思いを秘めている矢代、影山が久我に惹かれていくのを察している矢代、それでも憎まれ口を叩く矢代…。とても切なく矢代ってどうしてこうなんだろう、でもこれが矢代という男、こういう男だからこそ目が離せなくなる、と痛感した。

影山久我カプが特に好き! というわけじゃないが、矢代のことは見守っていたいという『囀る』の熱いファンにとっては、このアニメDVDは見る価値があると思う。価格を考えると誰にでも強くすすめるわけじゃないけれど、影山久我カプ推しはもちろん、矢代と『囀る』の作品自体を熱く愛するファンにはおすすめしたい。(文:牧島史佳/ライター)

『囀る鳥は羽ばたかない』6巻までをおさらい! 【Renta!】で読む

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