新田真剣佑のアクションと三浦春馬の存在感が光る『ブレイブ -群青戦記-』

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ブレイブ -群青戦記-
『ブレイブ -群青戦記-』
(C)2021「ブレイブ -群青戦記-」製作委員会
(C)笠原真樹/集英社

ブレイブ -群青戦記-
『ブレイブ ‐群青戦記-』
三浦春馬

部活に励む高校生たちが戦国武将に立ち向かう異色の青春ドラマ

【週末シネマ】スポーツの名門で知られる高校が校舎や敷地ごと戦国時代にタイムスリップ、生徒たちが部活のスキルを駆使して戦国武将たちに立ち向かう。累計発行部数150万部の人気コミック「群青戦記 グンジョーセンキ」の実写映画化作『ブレイブ -群青戦記-』は、アクション満載の青春ドラマを通して、“命を懸ける”ということについて問いかけてくる。

・ファンに愛された三浦春馬 逝去後の足跡ふり返る

本作が単独初主演という新田真剣佑が演じる主人公・西野蒼は弓道部に所属。実力はあるのに競技として弓を射ることに興味がない。同じ弓道部で全国大会で好成績を収める瀬野遥(山崎紘菜)、全国大会で優勝した剣道部の松本孝太(鈴木伸之)という幼馴染2人に比べて引っ込み思案。歴史が大好きで、細かい史実まで知り尽くしている。

3人のほかに、野球部、アメリカンフットボール部、ボクシング部、空手部やフェンシング部など様々な部活で生徒たちが練習していた放課後、落雷をきっかけに突然、武装した野武士たちが校庭になだれ込む。問答無用で刀を振りおろされ、丸腰の生徒たちが次々と殺されていく冒頭は凄まじい。PG-12指定のリアルさに慄くが、妥協しない表現は生徒たちの感じる恐怖、そこから生まれる本能的な生命力に説得力を与える。

新田はアクションときめ細かい内面の演技で若者が成長する姿をしっかり表現

一部の生徒たちが連れ去られ、一体何が起きたのか、とパニックが広がる中、歴史オタクの蒼は自分たちが戦国時代、桶狭間の戦いの直前までタイムスリップしたことに気づく。仲間を連れ去ったのは織田信長(松山ケンイチ)の軍勢だ。彼らを救出し、自分たちのいた時代に戻るために、スポーツ万能の生徒たちも科学部所属の秀才たちも、男女ともに心を奮い立たせ、力を合わせていく。そんな彼らの前に、後に徳川家康と名乗ることになる松平元康(三浦春馬)が現れ、導く存在となる。

タイムスリップ、そして歴史を改変してはいけないという大前提。『戦国自衛隊』と『バック・トゥ・ザ・フューチャー』のハイブリッドのようでいて、この物語ならではの躍動感を作り出すのは、『踊る大捜査線』シリーズから『亜人』『曇天に笑う』など娯楽作品を撮り続けてきた本広克行監督の腕だろう。

積極的な幼馴染2人の背後に隠れるようだった蒼を演じる新田は、身体能力の高さが光るアクションときめ細かい内面の表現で、混乱の中で成長していく過程をしっかりと見せる。

命を懸けることについて考えたくなるエンターテインメント作

学生の部活動には大会出場など共通の目標がある。そこに身を置く高校生たちがサバイバルという1つの目標に対してスイッチが入る様子、圧倒的に不利な形勢でも決して諦めず、仲間を見捨てない真っ直ぐさが眩しい。得意分野を生かした創意工夫は面白く、緊迫した状況が続く中にクスッと笑える瞬間もある。メイン3人を中心に、生徒たちの群像が丁寧に描かれ、大人が頭で考えるのとも違うナチュラルさは、俳優たちのアドリブを積極的に採用したからだという。

歴史上の偉人を演じる松山も三浦も、もし本作が10年前に作られていたならメインの生徒役で登場していただろう。そんな彼らが大人として、戦国武将として見せる堂々たる存在感は、1つの世代が次へとバトンを渡して歴史を作っていくというテーマを感じさせる。

命を懸けることについて、蒼と松平元康が交わす言葉が印象深い。中世の感覚をそのまま現代に当てはめるのではなく、きっかけとして、生きる意義まで考えたくなるエンターテインメント作だ。(文:冨永由紀/映画ライター)

『ブレイブ -群青戦記-』は、2021年3月12日より公開