コロナ政策に抗議し人気女優が全裸パフォーマンス、大臣に向け「信頼失墜」の批判も

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セザール賞
血糊がたっぷりついたドレスを脱ぎ始めるコリーヌ・マジエ/CANAL+の公式Twitterより

映画館など文化施設の営業禁止措置続くフランス

12日(現地時間)、フランスのアカデミー賞に当たるセザール賞授賞式で、新型コロナウイルス感染対策として国内の文化施設の閉鎖を続ける政策に抗議し、ベテラン女優がステージ上で全裸になった。

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衣装賞のプレゼンターを務めた女優のコリーヌ・マジエロは、ロバの皮を模した衣装で登壇。フランスの名画『ロバと王女』のヒロインに似せた装いを脱ぐと、その下はアメリカ映画『キャリー』にインスパイアされて血糊がたっぷりついたドレスになった。と思ったら、彼女はそのまま脱ぎ続けてあっという間に全裸に。

キャリーのように顔や腕も赤く染まったマジエロの胸からお腹にかけて、「ノー・カルチャー、ノー・フューチャー」の文字が書かれていた。

フランスでは昨年来のコロナ禍で、映画館や美術館など文化施設の営業禁止措置が長く続き、再開の時期は現時点では未定。

マイクを手にした彼女は「今の私たちはこんな感じ。素っ裸です」と、施設閉鎖によって何ヵ月間も活動することができずにいる文化、芸術関係者の思いを代弁した。

後ろを向いた背中には「REND NOUS L’ART JEAN!(私たちに芸術を返せ、ジャン!)」と、ジャン・カステックス首相に向けたメッセージが書かれていた。

マジエロは、マリオン・コティヤールの主演作『君と歩く世界』(12)に出演しているほか、フランス本国では2015年から続く人気シリーズ『女性警察官マルロー』の主演で知られるベテラン女優。体を張ったパフォーマンスに会場は呆気に取られた様子だが、司会を務めた女優のマリナ・フォイス(『私は確信する』)は制止することなく、TVの生中継も中断されることなくそのまま放送され、マジエロの抗議に拍手を送る出席者は少なくなかった。

フランス映画界最大のイベントは毎年華やかなセレモニーが行われるが、今年はレッドカーペットのイベントもなく、候補者はパートナーなど同伴者なしで出席。会場のオランピア劇場で、出席者たちが社会的距離を保ってマスク着用で席につく異例の形で開催となった。

司会のフォイスも、オープニングのモノローグで「知らない人たちと一緒に笑いたい」と劇場での鑑賞体験から遠ざかっていることを語りながら、パンデミックの渦中で著書を執筆したロズリーヌ・バシュロ文化大臣に「あなたへの信頼をなくし始めている」と批判した。

セザール賞はアルベール・デュポンテル監督の『Adieu les cons(原題)』が作品賞、監督賞など7部門を最多受賞。マジエロがプレゼンターを務めた美術賞は、ジュリエット・ビノシュ主演で5月28日から日本公開予定の『5月の花嫁学校』が受賞した。