オスカーの多様性見せつけたノミネート内容、韓国系俳優がアジア系アメリカ人俳優として初の主演男優賞候補に!

#アカデミー賞#オスカー#第93回アカデミー賞

ミナリ
『ミナリ』(C)2020 A24 DISTRIBUTION, LLC All Rights Reserved.
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ユン・ヨジョン

『Mank/マンク』が10部門で最多ノミネート

第93回アカデミー賞のノミネーションが15日(現地時間)に発表され、『Mank/マンク』が最多10部門で候補になったほか、監督部門で女性2人が、俳優部門で非白人が9人候補となり、ハリウッドが近年目指してきた多様性、包摂性が実現する形となった。

マンク

作品賞、監督賞、主演男優賞、助演女優賞、撮影賞、美術賞、音響賞、作曲賞、衣裳デザイン賞、メイクアップ&ヘアスタイリング賞の10部門にノミネートされた『Mank/マンク』に次ぐ6部門で候補になったのは、ゴールデングローブ賞ほかで受賞が相次ぐ『ノマドランド』、ゴールデングローブ賞で外国語映画賞を受賞した『ミナリ』、ゴールデングローブ賞脚本賞の『シカゴ7裁判』、ゴールデングローブ賞助演男優賞受賞の『Judas and the black Messiah(原題)』『ファーザー』、『サウンド・オブ・メタル 〜聞こえるということ〜』。

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監督賞候補には『ノマドランド』のクロエ・ジャオ、『プロミシング・ヤング・ウーマン』のエメラルド・フェンネルという女性2人に加えて、韓国系アメリカ人のリー・アイザック・チョン(『ミナリ』)、アメリカ映画ではなくデンマーク映画『Another Round(英題)』のトマス・ヴィンターベアという多彩な顔ぶれが揃った。

俳優部門では、主演男優賞で3人の候補が非白人。リズ・アーメッド(『サウンド・オブ・メタル〜聞こえるということ〜』)はイスラム教徒の俳優として、昨年43歳の若さでこの世を去ったチャドウィック・ボーズマン(『マ・レイニーのブラックボトム』)はアフリカ系だ。

アジア系アメリカ人俳優として初の主演男優賞候補となったのは、『ミナリ』のスティーヴン・ユァン。ノミネーションが発表されたのは、ロサンゼルスでは早朝4時45分から。そのため、スティーヴン・ユァンは自宅で家族と就寝中だった。ユァンは「Variety」に「これ(『ミナリ」)を始める前は、とても怖かった。それを乗り越えられたのは、信じることだけでした。たぶん、全ての映画は、信じて跳躍することかもしれません。アイザック(・チョン監督)はとても深く美しく、正直で真実味あふれる物語を書きました。その世界に身を投じるのは本当に素晴らしく感じました。私が演じたジェイコブと同様に、私はコントロールしようと努めました。でもその過程でコントロールすることはできなくなった。こうしようと決めたら、あとは全て自分の力ではどうにもならない。この映画が反響を呼んでいることを嬉しく思っています」とコメントした。

『ミナリ』のユン・ヨジョンも助演女優賞候補に

主演女優賞では実在した偉大なシンガーを演じたアフリカ系の2人が候補に。『マ・レイニーのブラックボトム』でタイトルロールを演じたヴィオラ・デイヴィスと『The United States vs. Billie Holiday(原題)』でビリー・ホリデイを演じたアンドラ・デイだ。

助演男優賞では、ブラックパンサー党のリーダーの1人だったフレッド・ハンプトンを演じたダニエル・カルーヤ(『Judas and the black Messiah(原題)』)、伝説のシンガー、サム・クックを演じたレスリー・オドム・Jr.(『あの夜、マイアミで』)、レイキース・スタンフィールド(『Judas and the black Messiah(原題)』)というアフリカ系の実力派3人、助演女優賞では『ミナリ』でアメリカに移民したばかりの韓国人一家の祖母を演じた韓国の名女優ユン・ヨジョンがノミネートされた。

ユン・ヨジョンは「韓国人女優がオスカーにノミネートされるなんて、考えたこともありませんでした。しかも私が、だなんて! とても光栄です。AMPAS(アカデミー賞を主催する映画芸術科学アカデミー)、A24とプランB(『ミナリ』の製作会社)、『ミナリ』ファミリーとすべてのキャストとクルーの皆さん、どうもありがとうございます。私たちは愛を込めてこの映画を作りました。この映画を愛してくださって、ありがとうございます。そしてアイザック、ありがとう。すべてあなたのおかげです」とリー・アイザック・チョン監督や関係者への感謝を込めて、喜びのコメントを出した。

ユン・ヨジョン

ユン・ヨジョン『ミナリ』

作品賞、監督賞を含む最多10部門にノミネートされながら、『Mank/マンク』はオリジナル脚本賞候補に入らなかった。本作の脚本家はフィンチャー監督の亡父でジャーナリストだったジャック・フィンチャーだ。

なお、長編アニメーション部門にエントリーしていた『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』を始め、日本から出品された候補対象作6本は残念ながら候補入りは果たせなかった。

第93回アカデミー賞授賞式は4月25日(現地時間)に開催される。

ノミネーションは以下の通り。

作品賞
『ファーザー』
『Judas and the black Messiah(原題)』
『Mank/マンク』
『ミナリ』
『ノマドランド』
『プロミシング・ヤング・ウーマン』
『サウンド・オブ・メタル ~聞こえるということ~』
『シカゴ7裁判』

監督賞
トーマス・ヴィンターベア『Another Round(英題)』
デヴィッド・フィンチャー『Mank/マンク』
リー・アイザック・チョン『ミナリ』
クロエ・ジャオ『ノマドランド』
エメラルド・フェンネル『プロミシング・ヤング・ウーマン』

主演男優賞
リズ・アーメッド『サウンド・オブ・メタル ~聞こえるということ~』
チャドウィック・ボーズマン『マ ・レイニーのブラックボトム』
アンソニー・ホプキンス『ファーザー』
ゲイリー・オールドマン『Mank/マンク』
スティーヴン・ユァン『ミナリ』

主演女優賞
ヴィオラ・デイヴィス『マ ・レイニーのブラックボトム』
アンドラ・デイ『The United States vs. Billie Holiday(原題)』
ヴァネッサ・カービー『私というパズル』
フランシス・マクドーマンド『ノマドランド』
キャリー・マリガン『プロミシング・ヤング・ウーマン』

助演男優賞
サシャ・バロン・コーエン『シカゴ7裁判』
ダニエル・カルーヤ『Judas and the black Messiah』
レスリー・オドム・Jr.『あの夜、マイアミで』
ポール・レイシー『サウンド・オブ・メタル ~聞こえるということ~』
レイキース・スタンフィールド『Judas and the black Messiah(原題)』

助演女優賞
マリア・バカローヴァ『続・ボラット 栄光ナル国家だったカザフスタンのためのアメリカ貢ぎ物計画』
グレン・クローズ『ヒルビリー・エレジー -郷愁の哀歌-』
オリヴィア・コールマン『ファーザー』
アマンダ・セイフライド『Mank/マンク』
ユン・ヨジョン『ミナリ』

オリジナル脚本賞
『Judas and the black Messiah(原題)』
『ミナリ』
『プロミシング・ヤング・ウーマン』
『サウンド・オブ・メタル ~聞こえるということ~』
『シカゴ7裁判』

脚色賞
『続・ボラット 栄光ナル国家だったカザフスタンのためのアメリカ貢ぎ物計画』
『ファーザー』
『ノマドランド』
『あの夜、マイアミで』
『ザ・ホワイトタイガー』

国際長編映画賞
『Another Round(英題)』デンマーク
『少年の君』香港
『Collective』ルーマニア
『皮膚を売った男』チュニジア
『Quo vadis, Aida?(原題)』ボスニア・ヘルツェゴビナ

長編アニメーション映画賞
『2分の1の魔法』
『フェイフェイと月の冒険』
『映画 ひつじのショーン UFOフィーバー!』
『ソウルフル・ワールド』
『ウルフウォーカー』

撮影賞
『Judas and the black Messiah(原題)』
『Mank/マンク』
『この茫漠たる荒野で』
『ノマドランド』
『シカゴ7裁判』

編集賞
『ファーザー』
『ノマドランド』
『プロミシング・ヤング・ウーマン』
『サウンド・オブ・メタル ~聞こえるということ~』
『シカゴ7裁判』

美術賞
『ファーザー』
『マ ・レイニーのブラックボトム』
『Mank/マンク』
『この茫漠たる荒野で』
『TENET テネット』

衣装デザイン賞
『Emma』(原題)
『マ ・レイニーのブラックボトム』
『Mank/マンク』
『ムーラン』
『Pinocchio』(原題)

作曲賞
『ザ・ファイブ・ブラッズ』
『Mank/マンク』
『ミナリ』
『この茫漠たる荒野で』
『ソウルフル・ワールド』

歌曲賞
「FIGHT FOR YOU」『Judas and the black Messiah』
「HEAR MY VOICE」『シカゴ7裁判』
「HUSAVIK」『ユーロビジョン歌合戦 ~ファイア・サーガ物語~』
「IO Si(SEEN)」『これからの人生』
「SPEAK NOW」『あの夜、マイアミで』

メイクアップ&ヘアスタイリング賞
『Emma. (原題)』
『ヒルビリー・エレジー -郷愁の哀歌-』
『マ・レイニーのブラックボトム』
『Mank/マンク』
『Pinocchio(原題)』

音響賞
『グレイハウンド』
『Mank/マンク』
『この茫漠たる荒野で』
『ソウルフル・ワールド』
『サウンド・オブ・メタル ~聞こえるということ~』

視覚効果賞
『Love and Monsters(原題)』
『ミッドナイト・スカイ』
『ムーラン』
『ゴリラのアイヴァン』
『TENET テネット』

長編ドキュメンタリー賞
『Collective』
『ハンディキャップ・キャンプ:障がい者運動の夜明け』
『老人スパイ』
『オクトパスの神秘:海の賢者は語る』
『タイム』

短編ドキュメンタリー賞
『Colette』
『A Concerto Is a Conversation』
『Do Not Split』
『Hunger Ward』
『ラターシャに捧ぐ ~記憶で綴る15年の生涯~』

短編アニメーション映画賞
『夢追いウサギ』
『Genius Loci』
『愛してるって言っておくね』
『Opera』
『Yes-People』

短編実写賞
『Feeling Through』
『The Letter Room』
『プレゼント』
『Two Distant Strangers』
『白い自転車』