中国の興収が米興収を大きく上回る
『ゴジラvsコング』が中国で大ヒットしている。3月26日から公開され28日までの3日間のオープニング興収は6920万ドル(Boxofficemojo.com調べ。以下同)。3月31日から公開されたアメリカでのオープニング興収(4月4日までの5日間)4850万ドルを大きく上回っている。公開2週目に入った4月2日から4日までの3日間は4420万ドルをあげ、累計で1億3710万ドルとなった。
・『ゴジラ』の単純でいて強烈なメロディーを生み出した伊福部昭
ハリウッド版『ゴジラ』シリーズと『キングコング:髑髏島の巨神』がクロスオーバーする「モンスター・ヴァース」シリーズ。『ゴジラ』の前2作、『キングコング』も中国で大ヒットした。アメリカでは『ゴジラ』2作目の興収が1作目の半分程度まで落ち込む一方、中国では2作目の興収が大きく伸びた。
14年『GODZILLA ゴジラ』アメリカ2億100万ドル、中国7800万ドル
17年『キングコング:髑髏島の巨神』アメリカ1億6810万ドル、中国1億6820万ドル
19年『ゴジラ キング・オブ・モンスター』アメリカ1億1100万ドル、中国1億3500万ドル
中国では『ゴジラvsコング』の興収が『ゴジラ キング・オブ・モンスター』を既に上回っており、『キングコング』に迫っている。
ハリウッド映画で本国アメリカより中国の方がヒットした主な作品を見てみると、
13年『パシフィック・リム』アメリカ1億200万ドル、中国1億1200万ドル
18年『パシフィック・リム:アップライジング』アメリカ6000万ドル、中国9900万ドル
17年『トランスフォーマー/最後の騎士王』アメリカ1億3000万ドル、中国2億2900万ドル
18年『バンブルビー』アメリカ1億2700万ドル、中国1億7100万ドル
怪獣やロボットが街中で派手に暴れるハリウッド映画が中国でヒットしやすいといえそう。ちなみに、『ゴジラvsコング』ではゴジラとコングが戦う舞台の1つが香港。これも中国でのヒットを後押しした要因だろう。
20年、中国の映画市場は米国を抜いて世界一を記録した(コムスコア調べ、中国27億ドル、米国22億ドル)。21年に入ってからも中国では『你好、李煥英』(8億2100万ドル)、『唐人街探案3』(6億8600万ドル)といった自国産映画が驚異的な大ヒットを記録している。ハリウッド映画『ゴジラvsコング』も大ヒットしたことで、中国は世界の映画市場でますます存在感を高めていきそうだ。(文:相良智弘/フリーライター)
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