パソコンを手に叩きつけ大怪我負わせたことも
アカデミー賞受賞作の『ソーシャル・ネットワーク』『レディバード』などで知られるハリウッドの大物プロデューサー、スコット・ルーディンの長年にわたるパワー・ハラスメントを告発する記事が7日(現地時間)、「The Hollywood Reporter」に掲載された。
・セクハラ被害者90人超の米大物プロデューサーに第1級性暴力の判決下る
ルーディンは短気で、癇癪を起こして物を投げつける行為を繰り返し、飛行機のチケットを取り損ねた部下の手にコンピュータのモニターを叩きつけて大怪我を負わせたこともあったという。窓にノートパソコンを投げつけたり、ガラス鉢を投げつけるなどして、パニック発作を起こして救急搬送された従業員もいるという。
ルーディンはEGOT(エミー賞、グラミー賞、オスカー、トニー賞)という全米のエンターテインメントの最大の賞の全てで受賞経験がある大物だ。同時に彼の癇癪は以前からよく知られており、大物映画プロデューサーの横暴を描いた『ザ・プロデューサー』でケヴィン・スペイシーが演じたプロデューサーのモデルの1人はルーディンだと言われている。『マンチェスター・バイ・ザ・シー』のプロデューサー、ケヴィン・J・ウォルシュはかつて、ルーディンに走行中の車から降りるように要求され、高速道路上に置き去りにされたと「The Hollywood Reporter」に話している。
5年間で119人の部下が退職
こうしたハラスメントの数々は今までも報じられてきたが、大物業界人の剛腕エピソードの1つのように扱われ、ルーディン本人が「ウォール・ストリート・ジャーナル」誌の記事中で5年間のうちにアシスタント119人が辞めていったと話している。
2017年には、こちらもオスカー常勝の映画プロデューサーだったハーヴェイ・ワインスタインが長年にわたる性暴力やセクシャルハラスメントを告発され、昨年3月に有罪判決を受けた。ワインスタインは現在も裁判やり直しを申し立てているが、虐待されてきた人々が声を上げたことが、今回のルーディン告発への後押しになったと言えそうだ。
今回の記事を受けて、ルーディンのパワハラによって心を病み、自殺した元部下の遺族が「読むのがとても辛かったですが、(この記事が)書かれたことは重要であり、拡散すべきです」として、自身の兄弟が2008年から09年にかけてルーディンの下で働いていた時期に重度の不安障害を発症し、仕事を辞めてからも苦しみ続けたことを連続ツイートで綴り、「スコット・ルーディンの正体がいかに浅はかで卑劣で、弱い者いじめをする人間であるかを人々に知らしめるよう、この記事のシェアに協力してください」と訴えた。
I had a hard time reading this today, but it is important that it was written and you should share it broadly. (Ridiculously long thread to follow) https://t.co/fuYIH1w4j1
— David Graham-Caso (@dgrahamcaso) April 8, 2021
スコット・ルーディンは昨年の賞レースを賑わせたNeflixの『アンカット・ダイヤモンド』などを手がけ、今年もエイミー・アダムスやゲイリー・オールドマンが出演する『The Woman In the Window(原題)』(Netflix)やジョエル・コーエン監督のもとデンゼル・ワシントン&フランシス・マクドーマンドがマクベス夫妻を演じる『he Tragedy of Macbeth(原題)』など注目作を手がけている。日本時間9日現在、ルーディン側はコメントを出していない。
[スコット・ルーディン製作の主な作品]
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