『名探偵コナン』興収記録更新なるか、100億円超えも視野?
4月16日から公開された『名探偵コナン 緋色の弾丸』が大ヒットスタートを切った。16日から18日までの初日3日間の興収は約22億1800万円。前作『紺青の拳(フィスト)』のオープニング興収を18%上回った。『名探偵コナン』史上初めて、IMAX、MX4D、4DX、DOLBY CINEMAでも上映され、これらの特別スクリーン上映限定の入場者プレゼントとして原作者・青山剛昌が描きおろした「緋色の“再装填”(リロード)カード」が全国合計20万名に配布された。
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本作は1年の延期を経て公開。定番のアニメ映画シリーズ『ドラえもん』『クレヨンしんちゃん』は昨年、延期があったものの年内に公開しており、満を持しての公開となる。ファンの飢餓感が大ヒットスタートを後押しした側面もありそうだ。
2月11日からは『名探偵コナン 緋色の不在証明』が公開。『緋色の弾丸』でキーパーソンとなる赤井ファミリーに焦点を当て、コナンによるナレーション収録や音響を新たに編集したテレビシリーズの特別総集編だ。根強いファンを集客し興収12億円のヒットを記録し、『緋色の弾丸』公開に向けて弾みをつけた。
製作元の日本テレビ系ではスペシャル番組を放映したり、公開日の16日に「金曜ロードショー」で『名探偵コナン 異次元の狙撃手』を放映。またゲスト声優の浜辺美波が『I LOVE みんなのどうぶつ園』『世界まる見え!テレビ特捜部』などに出演してPRに勤めた。
シネコンでの上映回数は通常は1日5回のところ、10回以上は当たり前。20回を超えるシネコンも多くあった。日本最大級の動員を誇るTOHOシネマズ新宿では、朝7時から深夜24時30分までIMAXとMX4Dを含め16日~18日に各43回上映された。この43回は、『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』の初日42回、2日目41回、3日目35回を上回る回数だ。
上映スクリーン数が多い背景には、シネコン側のコナンに対する期待の大きさもあるが、『シン・エヴァンゲリオン劇場版』の興行が落ち着いてきたこともある。3月8日から公開され、週末興行ランキングでは5週連続1位を獲得しているが、4月10日~11日の興収は約2億6520万円。他の上映作品はさらに興収を下げており、上映スクリーン数を『コナン』に割きやすい環境にあった。またコロナの感染状況によっては、今後大都市部で営業時間や入場者数の制限が課せられる可能性があり、早めに集客しておきたい狙いもあったとみられる。
絶好調スタートの『コナン』だが、23日からは『るろうに剣心』が控える。強力なライバルの登場で興収はどう推移するか。影響が少なければ、『紺青の拳』の最終興収93.7億円を上回る8年連続のシリーズ最高興収の記録更新と、興収100億円超えが見えてくる。(文:相良智弘/フリーライター)
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