何やってんの? バカじゃないの? っていう男の子たちのシーンがかわいくて好きなんです(ギミー)
今回は、広くみんなに読んで欲しい、筆者が好きなBL作家を紹介させてほしい! 2018年に東京漫画社からデビューコミックス『いっしょにあそぼ』が発刊されたギミーだ。
『いっしょにあそぼ』は中編が2作収録されていて、表題作はいいおとなの青年たちが田舎で“いっしょにあそぶ”ことで親しくなっていくようすを描いている。“ひとりあそび”が好きな好青年の直之は田舎へと移住し、引っ越し早々、開放的な外で趣味の“ひとりあそび”を開始。そこへ隣家の息子・亘(もとむ)がやってきて目撃されてしまう! しかし、気のいい亘は引くことなく、自分はそういう欲求が薄いから教えてくださいといって、彼らは一緒に“ひとりあそび”をする仲に…! 牧歌的でほのぼのとした、ユニークな田舎BLだ。もう1作は中華料理店でアルバイトしている男の子たちを描いた『やさしいぼくら』。付き合いたてでどっちがどっちをするのかと考える2人が描かれる、こちらもほのぼのとしていてかわいい個性的なBLだ。
・感動の裏話に涙…! 人気漫画家・m:mの愛猫まぐろちゃんに癒される!
発売されているギミーの商業BLコミックスはこの1冊なのだけど、筆者はなんとも和むこの『いっしょにあそぼ』が大好き! ぜひみんなに読んで欲しいと思い、作者のギミーにインタビューしてみた! 初コミックスの誕生秘話はもちろん、BLとの出会いから萌えツボなどもたっぷり語ってくれた。
――今日は楽しみにしていました! 私はギミー先生のTwitterアカウントもフォローさせてもらってるんですが、ギミー先生は読んだBLをツイートされることもありますよね。1ヵ月にどのくらい読まれるんですか?
ギミー:まちまちだけど、1ヵ月だと20冊弱くらいですかねぇ。やっぱりBLが大好きなので。
――BLとはどんな風に出会われたんですか?
ギミー:間違って買っちゃった例のパターンですね。CJ Michalski先生のコミックスを買ったんです。中3か高1だったんですが、抵抗感もなく読めて「なんて楽しい世界なんだ!」って思いました(笑)。書店でアルバイトもしたので、そこからズブズブとハマりました。
――初めてマンガを描かれたのはいつ頃ですか?
ギミー:それも学生の頃ですね。周りにいる友だちの話を4コマ漫画にして、友だちに見せてました。
――オリジナルの漫画だったんですね。模写などではなく。
ギミー:模写は苦手なんです。見ながら似せて描くのが苦手で。二次創作でも、自分の頭の中にあるキャラクターのイメージをアウトプットしている感じです。
――二次創作ではどういうキャラクターに魅力を感じるんですか?
ギミー:やっぱり主人公ですね。一番、心情が描かれていて、自然とたくさん情報が入ってくるじゃないですか。とにかくかわいくなって、幸せになって欲しいって思っちゃうんです。年を重ねてきたら、恋愛対象というよりも息子のような存在に思えてくるし(笑)。
――自分が付き合いたいという対象じゃなく、愛でていたい対象になってきたんですね。
ギミー:そうそう。年を重ねると好みも少し変わってきましたね。食べ物の嗜好が変わってくるように。だんだんと甘いものも食べられなくなってきて、脂っこいものも、もう私には要らないかなって思うようになってきました。
――それは比喩的にエロのことを言われてます?
ギミー:そうです、エロもガッツリじゃなくて匂わす程度で満足するようになりました。あ、でも、あったらあったで嬉しいんですよ、ボーナスステージって感じで(笑)。ただ、そんなにエロを読みたいと思わなくなったし、ストーリーもしんどいものより、平和なものを読むようになりましたね、前よりは。
――今、BL作品全体的に癒し系が主流だったりしますよね。片や、しんどい作品が多いオメガバースが流行っていたりも。では、オメガバースは読まれないですか?
ギミー:それが、めちゃめちゃ読むんですよ(笑)。オメガバースは様式美の世界で面白いですよね。雌雄が決まっているから男女モノのような感覚で読んでいます。自分が描けって言われたら、きっとハッピーなものになっちゃいますけど。いつもの(笑)。
――ギミー先生の『いっしょにあそぼ』もハッピーな世界ですもんね。様式美の世界とは全然違っていて。
ギミー:あの作品は自分が常日ごろ考えていることをポンっと出しただけなんですけど。それがちょっと変わってたっていう。
――どういうところから発想されたんですか?
ギミー:以前、田舎で暮らしていて、軽トラで窓を開けて片腕出して走ってるオジサンをよく見かけたんですよね。それで、男の人って解放感を求めてるのかなぁって思って、そこから外ですることにハマってるキャラクターが登場すると面白いかもって思いついたんです。
――そこで外で2人でするわけじゃなく、“ひとりあそび”するのがほのぼのしてて面白いです。
ギミー:“ひとりあそび”の描写はBLではよく出てきますけど、深刻にならずに、ヨシ!やるか! って明るいのってかわいいなと思って描いてみました。2人で一緒にしてても、明るくしてるのもいいんじゃないかと。
――池で小魚が寄ってくるシーンが好きです!(笑)
ギミー:ああいう女の人から見たら、何やってんの? バカじゃないの? っていう男の子たちのシーンがかわいくて好きなんです。
――ほかにもギミー先生の萌えツボってありますか?
ギミー:私は生活萌えというか暮らし萌えというのがありますね。生活感があるのが好きなんです。えちシーンでも“準備”するところを描くのが好きです。ページの都合上たっぷりといれられない場合もありますが、できれば“準備”も描きたいんですよね。
――なるほど! お聞きして気づきました、えちシーンで“準備”を描かれているところもギミー先生の作品の好きな要素のひとつです。
ギミー:BLファンタジーで準備を描かないのもアリだと思うんですが、自分で描くならできるだけ描きたいんですよね。バスタオルを敷いたりとか。まさに暮らし萌えですね。
――わかります~。リアリティを求めるというのともちょっと違うんですけど、暮らし萌えはありますね!
ギミー:人間らしい営みを感じたいんですよね。存在感に説得力があって、生きてるんだなって思えて。
――体温を感じるっていうやつですね。
ギミー:それが私の作風なんでしょうね。
気になるギミーの新作は? 続きは明日掲載の<後編>にて!
(文:牧島史佳/ライター)
<プロフィール>
ギミー
岡山県生まれ。2005年頃から二次創作の活動を開始。2018年『やさしいぼくら』を東京漫画社のBLコミック誌「cab」に発表、商業デビューを果たす。同年、同作を所収したコミックス『いっしょにあそぼ』を発刊。
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