宮嶋という男の生き様を、3シーンですべて表現
吉永小百合が映画出演122本目にして、初の医師役に挑戦した映画『いのちの停車場』が5月21日より公開を迎える。現役医師である南杏子の同名小説を映画化した同作は、東京から故郷の金沢に戻り、小さな「まほろば診療所」で在宅医として再出発する医師の咲和子と彼女が出会う患者たちとの物語。患者の1人で、末期の膵臓癌を患う元高級官僚・宮嶋一義を、柳葉敏郎が演じる。
故郷に根ざす男が演じた、故郷に戻ってきた男の死に様『いのちの停車場』柳葉敏郎インタビュー
人生の最期を迎える場所として故郷を選び、穏やかに過ごしながらも、疎遠になっている息子を気がかりに思うという役どころだが、出演するのは3シーンのみ。「監督から最初に、(3シーンで)宮嶋という男の生き様を全て表現してくれと言われました。1シーン目は鎧を羽織った宮嶋、2シーン目はその鎧を脱ぎ捨てた宮嶋、3シーン目は全てを脱ぎ捨てた宮嶋の生き様」
宮嶋の一生を3つのシーンに凝縮して演じ、しかもほとんどワンカットで撮影が進んだそうだが、「完成品を見た時に、なんていい作品なんだろう」「人としてあるべき人の姿、それがものの見事に表現されてる作品」と、演じた本人も心を動かされた様子。
また、16年ぶりに共演を果たした主演の吉永については「その16年を感じなかったんですよね。大女優・吉永小百合さんに向かっていくわけですから、その心構えと覚悟を持って現場に入るんですけど、終わってみると、吉永さんのあったかさ、おおらかさ、例えばせりふで厳しいことをおっしゃったにしても、そこにはしっかりとした愛情が感じられる。それが16年前とちっとも変わってなくて」と回想。役柄と同様に「最終的には、吉永さんに包み込まれて終わっちまった」と笑みをこぼす。
「俳優として今後目指したいもの」を問われると、「早く“室井慎次”を払拭したいですね」と本音がぽろり。インタビューでは撮影現場の様子や、昨年急逝した東映グループの岡田裕介会長とのエピソードなどがたっぷりと語られている。柳葉敏郎のインタビュー全文はこちら
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