相手役と“よい化学反応”を起こすために衝撃的な提案を受けて…
昨今の#MeToo運動に始まり、これまでいろんな思いを抱えてきた女性たちが次々と声を上げている。そんななか、満を持して登場したのが女優シャロン・ストーン。2021年3月30日(現地時間)に発売された自叙伝「The Beauty of Living Twice」が大きな話題となっている。
1980年にウディ・アレン監督作『スターダスト・メモリー』で映画デビューを果たしてから、すでにキャリアは40年以上。これまでもさまざまな差別を受けた経験を訴えてきたシャロンだが、本のなかでは戦い続けた自身の半生を赤裸々に語っているという。
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そのなかでも衝撃的なのは、彼女がプロデューサーからされたというアドバイス。作品でいい化学反応を起こすために、共演者の男性俳優と寝ること勧められたという。驚くべきは、共演者と性的な関係を持つことを強要してきたプロデューサーは1人ではなく、映画会社のトップを含めほかにもたくさんいたこと。プロデューサーから言われたのか、実際にシャロンを誘ってきた共演者もいたのだとか。
自分の意見を主張したら“気難しい女”扱いに
しかし、そこで屈しないのがさすがのシャロン。自身の考えや権利を主張して、はっきりと断ったというが、そうすることによって男性だらけの現場では、自分が周りを怖がらせている気難しい女として扱われることになった、と当時の苦悩を振り返っている。1995年には、『クイック&デッド』で当時まだ駆け出しだったレオナルド・ディカプリオを起用させるためにスタジオと対立し、自腹でギャラを払って出演させたことなども明かしているが、彼女の仕事に対する信念の高さと意志の強さはそんなエピソードからもわかるだろう。
『氷の微笑』の脚を組みかえるシーンへの戸惑いと決意
そのほかにも、シャロンを一躍スターへと押し上げた1992年公開の映画『氷の微笑』でも、監督に騙されて下着を脱いで撮影を行ったことを告白。問題のシーンは、ミニスカートの彼女が取調室で脚を組みかえるというもはや“伝説のシーン”とも言える場面だが、撮影時にポール・バーホーベン監督から「下着の白い部分が反射してしまうし、何も見えないから下着を脱いでほしい」と言われていたという。
ところが、実際に試写で観た際に自分の股間が映っていることを知ると、監督のところに行って顔を引っ叩いたというシャロン。その後、すぐに弁護士に連絡したのだというが、考え抜いた末に、映画とキャラクターに必要なシーンであったため、そのまま使用することを決断したのだとか。皮肉にも彼女にとってはこれが出世作となり、“セックスシンボル”として大きな注目を集めることになるのだが、その背景には女優としての並々ならぬ決意があったことは言うまでもない。
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強くしなやかに波乱の人生を乗り越えて
乳房に見つかった腫瘍を取り除く手術をしたあとに男性医師から同意もなく勝手に豊胸手術をされてしまったり、幼いころから14歳まで母方の祖父から性的虐待を受けていたりと、私生活でも波乱の人生を送ってきたシャロン。さまざまな痛みを知る彼女だからこそ、説得力のある言葉の数々に多くの人が勇気をもらっていることは間違いないだろう。(文:志村昌美/ライター)
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