いっそ芸人だらけの国会もあり!? ホリエモンが選挙に関し大胆提案!
市議会議員の補欠選挙に立候補した1人の新人議員。「電柱にもおじぎせよ!」という日本のドブ板選挙に右往左往する彼の姿を通じて、選挙の本質に迫ったユニークでユーモラスなドキュメンタリー映画『選挙』が、7月4日から東京・ライズXほかにて再公開される。
5日の静岡県知事選、12日の都議選、そして次期衆院選と選挙への意識が高まる中、日本の選挙の実状を綴ったこの映画の公開に注目が集まっているが、公開に先立つ6月30日、ライズXでトークイベントが行われた。
登場したのは『選挙』の主役・山さんこと山内和彦氏と想田和弘監督、そして05年の「郵政選挙」で激しい選挙戦を戦ったホリエモンこと堀江貴文氏。東大に学んでいたという共通点のある3人(山さんと監督は卒業、堀江氏は中退)による、痛快でタブーなしのぶっちゃけ本音トークに、会場は大いに湧いていた。
現在は「主夫」をしているという山さんは、ホリエモンが選挙で着ていた「選挙Tシャツ」を着て登場。そこから、ホリエモンの経験談が一気に炸裂! 亀井静香議員の刺客としても話題を呼んだため、自民党から出馬したような印象がある彼だが、実は無所属での立候補。最初は自民党からの出馬が検討されていたが、ライブドア社長(当時)を辞めることが条件とされたために無所属となった経緯などを、オフレコなしで説明。「赤坂のホテルで突然、飯島勲元内閣総理大臣秘書官と引き合わされ、いきなり恫喝みないた感じで、恐ェ〜なぁ、みたいな」と振り返るホリエモン。実家がある選挙区から出馬しなかったことについて「古賀さん(自民党・古賀誠選対委員長)の地元だったので、彼はイヤだったんだと思いますよ」と推測していた。
また、公明党の組織力に恐れおののいたエピソードも披露。「創価学会の偉い人」と話し、選挙協力が決まった30分後の演説会に、早くも学会員らしき女性らが来ていたそうで、「演説の最後に、言いづらかったんですけど気持ちを振り絞って(押し殺すような声で)『比例は公明党に』と言ったら、前に座っていたオバチャンたちの目が輝いて、よく言ってくれた、応援するわよって。スゲ〜な、この組織力って……」と、苦笑いを浮かべていた。
最終的に広島6区から出馬したホリエモンだが、「有権者の過半数が60歳以上だから、老人ホームを押さえないと勝てない」という選挙区事情にも言及。だが、演説はおろか、ホームに足を踏み入れることすらできなかったという。「亀井さんが全部押さえていて、僕は1カ所しか入れなかった。その1カ所も亀井さんと半分だからって言われて(笑)」。老人ホームは、「行って、演説したら、そこの票は取れる」と語り、演説先ではどこでも黒山の人だかりだったのに敗北した原因について、「老人ホームを全然押さえられなかったから」と話していた。
激戦を戦った当人だからこその迫力あるトークに山さんも監督も思わず聞き入り、イベントはほとんどホリエモンの独演会。だが、候補者が白い手袋をしているのは「握手しすぎると手が荒れるから」などのウラ話が出た後で、監督から素朴な疑問が……。
「選挙は、やはりあのスタイル以外はできない?」という問いに、「みんながそうしていて、『握手した人に入れよう』というレベルの人も多いんですよね」とホリエモン。「政策の話をしても誰も聞いてくれない。でも、僕はスゴク真面目にやっていたので、完全に正論で、地元への利益誘導という話もしなかった」と打ち明けた。
さらに、「選挙の仕組みをどう変えたらこの国は変わる?」と監督。その第1として、ホリエモンも山さんも、インターネットの選挙活動解禁を挙げていた。
ホリエモンは、「選挙は一種のお祭り。高齢者になればなるほど投票率が高いのは、選挙が楽しみのひとつだから。若ければ選挙より楽しいことはいっぱいあるけど、高齢者になればなるほど楽しみが減ってくるので」と持論を展開。「選挙戦は、候補者は大変なんだけど、応援はものすごく楽しくて、みんなイキイキしている。今でも選挙戦を戦った人たちと会うと、あんな楽しい経験なかったよ、またやらないの?って言われる」と笑っていた。
そしてホリエモンは、選挙を変えるためには「注目されるような候補者がでてくるべきだと思う」と力説。橋下大阪府知事や東国原宮崎県知事など、タレントとしても人気を博していた知事が活躍している現状を踏まえ、「ポピュリズムだと言われるけど、結局、知名度のある人が勝ってるので、どんどん有名人が選挙に出たほうがいいと思う」と前置きしてから、ある番組で、ロンドンブーツ1号2号の田村淳から政治に興味があると言われたことに触れ、「芸人党を作ればいい。しがらみもないから」とホリエモン。「国会議員が全員、芸能人になるんじゃないんですか?」と危惧する監督に、「僕はそれでもいいと思いますよ。だって、しがらみがないから」と断言。山さんも、「(しがらみがなく)言いたい放題言える人が(選挙に)通らないと。1回、芸人だらけの国会っていうのも悪くない」と賛同。
さらにホリエモンは、「1回、既存の仕組みを壊して、リセットすることが重要。昔は戦争などでリセットできたけれど、今はそれはできない。だとしたら、何らかの手段でリセットしないと。そのために壊し屋が必要なんです」と訴える。山さんも、「僕も、小泉元首相の『自民党をぶっ壊す!』という意見に賛同だったんです」。けれどホリエモンに「ぶっ壊せました?」と突っ込まれると、「僕がぶっ壊されました! いや〜あの政党(自民党)はなかなか変わらないんですよ」と苦笑していた。
最後の一言では、「選挙に行けば変わるんだと実感できるようになってきたので、特に若い人に選挙に行ってもらいたい。変わりますよ、絶対」と山さん。選挙はウグイス嬢以外は雇えないとした上で、「ボランティアで選挙の手伝いをしたら面白いと思います。インサイダーとして選挙に関ると、意識が変わる」とホリエモン。監督は、「一番マズいのは無関心。政治は(生活に)関係ないと思っているだろうけど、実はすごく関係がある。この映画を見て、感心を持ってもらいたい」と話していた。
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