英米の演技の差? メソッド演技に批判的なフリーマン
ドラマ『SHERLOCK』のワトソン役や『ホビット』映画三部作の主演で知られるマーティン・フリーマンが、ジム・キャリーの演技について「自己中心的」「耐えがたい」と批判した。
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フリーマンはイギリスのポッドキャスト番組『OFF MENU』にゲスト出演した際、ハリウッドでも多くの俳優が取り入れているメソッド演技について「これみよがし」と語り、イギリスの演技とは全く違うと語った。
メソッド演技はニューヨークのアクターズ・スタジオ主宰のリー・ストラスバーグらが広めた演技法で、キャラクターの内面的な動機や感情を理解し、追体験することでリアルな演技を行うもの。マーロン・ブランドやジャック・ニコルソン、ダニエル・デイ・ルイスやジャレッド・レトなどオスカー俳優たちもメソッド演技の実践者で、役になりきった撮影現場でのエピソードに事欠かない。
一方、フリーマンが共演したイギリス俳優の多くは「さっさとやって、終わらせる」スタイルだと言う。仕事が嫌だからではなく、求められるものを粛々と提供する職人気質の現れのようだ。フリーマンは「正直なところ、誰かが役に入り込みすぎているのは耐えられない。見るに耐えない。それはもはや技術でも仕事でもないから」と語る。
そこで話題になったのが、実在の伝説的コメディアン、アンディ・カウフマンを描いた『マン・オン・ザ・ムーン』(99)でのジム・キャリーの演技だ。
2017年にNetflixで公開されたドキュメンタリー『ジム&アンディ』で、1998年の映画撮影時の舞台裏の映像が公開されたが、そこでキャリーが極端なメソッド演技を取り入れ、常軌を逸した振舞いが、スタッフはもとよりキャリー本人にも影響を及ぼし、撮影現場に混乱をきたしたことが明らかになった。
司会者から『ジム&アンディ』を見たかと聞かれて、「もちろん」と答えたフリーマンは「ジム・キャリーは素敵で賢い人に違いないだろうけれど、あれは今まで見た中で最もうぬぼれが強く、利己的でナルシストなクソ野郎だった」と痛烈に批判。役になりきるだけならともかく、そこに至るプロセスで自分に酔っている状態に我慢がならない様子。
「私たちの文化の中で、ああいうものを賞賛したり、支持するという発想は、文字通り狂っている」と語った。
フリーマンも「若い頃は、完全に自分を消すことがゴールだと思っていた」が、歳を重ねるにつれて考えが変わったという。メソッド演技について「非常に非実用的なもので、だからこそ実用的な能力よりも、学生や学術的な面に属するものだと思う」と言うフリードマンは「現実を見失わないようにしなければならない。『アクション』と『カット』の間の時間、自分を見失ってはいけないとは言わない。だが、それ以外は極端に気取ったナンセンスで、非常にアマチュア的。プロフェッショナルじゃない。仕事をやれ、自分の仕事を」と手厳しい。
『ジム&アンディ』で当時を振り返ったキャリーは、アンディ・カウフマンがテレパシーで話しかけてきたと語り、「カウフマンが現れて、僕の肩を叩いて『座れ。俺が自分の映画をやる』と言った。その後に起こったことは僕の手に負えないものだった」と話している。
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