人々の夢や希望のために、次々と大金を差し出す女性の姿を通じて、お金と人間の関わり方について描いた『わたし出すわ』。その完成披露舞台挨拶が7月22日に行われ、小雪、黒谷友香、井坂俊哉、山中崇、小澤征悦、小池栄子らキャストと森田芳光監督が登壇、映画や「お金」について語った。
森田監督にとって本作は、『(ハル)』以来13年ぶりのオリジナルとなるが、その意図について、「銀行は、土地を担保にしかお金を貸さず、その人の夢などはあまり考えず、リスク軽減ばかりしている日本の経済がイヤで(笑)」と監督。そして、「自分が人に何かをしてあげることによって成長するということがある。(タイトルには)ふだんは奢ってもらっている女性も、躊躇しないで(何かを)出してごらんよ、という意味もあるんです」と続けた。
大金をみんなに差し出す主人公を演じた小雪は、「(主人公は)一言では説明しにくいキャラクターですが、根底には愛があり、お金をあげることで、自分も愛を感じている。いろいろ共感できる部分もたくさんあると思うので、楽しんでもらえれば」とコメント。主人公との共通点について聞かれると、「芯が強く、決めたことをまっとうするところは、少し似ているかも。でも、あんなに気前よくするのは……難しいですね」と苦笑いしていた。
「誰が、何を出すんだろう?」といろいろな妄想が広がる、インパクトのあるタイトルだが、「ポロリがあるんじゃないかと思いました」と素直な感想をもらしたのは山中。小澤も「小雪さんが何をだすのかな、と思いました」とコメント。井坂は、「作品を見て、『そういうことか!』といろいろと考えさせられるタイトルだと思いました」と、ニヤリとしていた。
最後に、映画のように大金をもらったらどうするかと聞かれた一同。森田監督は、「僕は不器用で、できることはひとつなので、100万円でも何100億円でも、フレキシブルにその金額に見合った映画を作って、みんなを幸せにしたい」と回答。黒谷は、「自然がいっぱいある草原などで過ごすために、そのあたりをほしいな、と思います」とニンマリ。井坂は、「バックパックを背負って世界中を回りたい」と、若々しい夢を語った。
小澤は「世話になった両親と、いつも支えてくれている姉に恩返しをしたい」とコメント。だが、「一応、ここで笑ってもらおうと」と、ウケ狙いの答えだったと告白していた。小池も「女ネズミ小僧のように、人に配るというのも憧れますけど」と語る一方、「でも、監督に渡して映画製作の足しにしてもらい、次の作品に出してもらうなど、結構、いやらしい方向に使う可能性もありますね」と笑っていた。ちなみに小雪は、「ケータリング会社でもやろうかな。で、監督の映画の現場で使ってもらって」と意外な抱負を語ってくれた。
『わたし出すわ』は10月31日より恵比寿ガーデンシネマほかにて全国公開される。
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