アメリカの移民問題に鋭く迫った社会派映画『正義のゆくえ I.C.E.特別捜査官』。脚本に惚れこんだというハリソン・フォードが、主人公の移民局(I..C.E.)のベテラン捜査官を熱演。移民取り締まりの仕事と理想との狭間で揺れ動く心情を、見事に表現している。
8月24日にはこの映画のイベントが都内で行われ、25人の高校生たちが参加。この日は、ニューズウィーク日本版の竹田圭吾編集長が高校生たちに移民問題について講義し、特別聴講生としてタレントのマリエも竹田編集長の話に耳を傾け、テレビなどで見せる顔とは違う一面を披露した。
マリエは、フランス系カナダ人の父を持つハーフ。14歳からオーストラリアのメルボルン、15歳からはアメリカのフロリダ、シカゴなどで学んだという彼女は映画について、「私が今まで触れてきたカルチャーが本当に鮮明に出ていました。日本人には分からないかもしれませんが、でも、だからこそ、日本人には素直に受け止められるかもしれません」とコメント。また、小さい頃はハーフのためにいじめられることが多かったという辛い過去も告白。「外国に行った方が受け入れられました」とも話していた。
竹田編集長は、移民たちがアメリカに来るのはチャンスを求めているからだと語った後で、劇中でハリソン・フォードがずっと悩んでいるのはなぜだと思うかと高校生たちに質問。「自分の仕事に忠実であるために、移民を追い払おうとしているから」という答えにうなずき、「移民で成り立っているアメリカに、彼らを追い払う権利があるのかと悩んだんだと思います。けれど、全てを受け入れていたら、国が崩壊してしまい、みんなが不幸になるのが分かっている」と、移民国家のジレンマについて語った。
また、労働人口が減少傾向にある日本も、移民の受け入れを真剣に考えなければいけない時期にきていることを説明し、「けれど、今の日本は受け入れ体制ができているのか」と問題を提起。竹田編集長から、異なる人種の人々と付き合う上で気をつけていることについて聞かれたマリエは、「気をつけることは本当に無数にあります。国によっては使ってはいけない言葉もある。黒人は『僕たちはアメリカ人じゃなくてブラック・ピープルだ』と言ったりするし」と話していた。
さらに竹田編集長は、アメリカが世界的に飛躍したのは移民の力も大きいと語り、「移民を受け入れることはいいこともあると思う。日本人が持っていないものを持っていたり、刺激にもなる」と解説。編集長から、日本が移民を受け入れるようになったら、どういうことを意識すべきか聞かれたマリエは、「相手の好きな音楽を好きになってみるという感覚が大事。そういう気持ちで相手の人種を見てあげるのが最初の一歩だと思う」と語っていた。
『正義のゆくえ I.C.E.特別捜査官』は、9月19日よりTOHOシネマズ シャンテほかにて全国公開される。
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