ヴェネチア国際映画祭閉幕。金獅子賞は壮絶体験を基にした戦争映画
第66回ヴェネチア国際映画祭が12日に閉幕、コンペティション部門の結果が発表され、最高賞・金獅子賞にイスラエル映画『Lebanon(原題)』が輝いた。1982年、レバノン侵攻に参加したイスラエル軍の4人の若い兵士たちの壮絶な体験を描く作品で、ほとんどのシーンが戦車内という狭い空間で繰り広げられる。サミュエル・マオズ監督の実体験を元にした内容だが、あまりに大きなトラウマを背負った彼がこれを映画化するまでに25年間を費やしたという。マオズは受賞スピーチで「この賞を、私と同じように戦場から無事帰還した多くの人々に捧げます」と語った。
最優秀脚本賞を受賞したのは、毒のある視点で深い人間観察をほどこすアメリカ・インディーズ映画界の名匠、トッド・ソロンズ。ダーク・コメディ『Life During Wartime(原題)』で自らメガホンを撮った。最優秀監督賞にあたる銀獅子賞はドイツ映画『Women Without Men(原題)』のシリン・ネシャト。ネシャトはニューヨークを拠点に活動するイラン出身の女性映像作家で、1953年のイランに暮らす、様々な階級の4人の女性たちを描いた。
最優秀俳優賞はアメリカ映画『A Single Man(原題)』のコリン・ファース。グッチのデザイナーから映画監督に転身したトム・フォードのデビュー作で、突然パートナーを亡くしたL.A.在住のゲイの英国人大学教授を演じた。最優秀女優賞はイタリアのサイコ・スリラー『La Doppia Ora(原題)』でヒロインを演じたロシア出身のクセニア・ラポポルト。
また、審査員特別賞を『Soul Kitchen(原題)』のファティ・アキン監督が受賞した。『愛より強く』でベルリン国際映画祭金熊賞、『そして私たちは愛に帰る』でカンヌ国際映画祭脚本賞、そして今回の審査員特別賞受賞を果たし、世界3大映画祭全てで受賞を経験という偉業を達成した。
日本から出品された『TETSUO THE BULLET MAN』は残念ながら受賞を逃した。
今年も開催期間中はコンペティション内外の作品に関わるハリウッド・スターたちが大挙して押し寄せたヴェネチアだが、栄誉に輝いたのは社会派やオフビートな作風が目立つ、映画祭らしいカラーがはっきりと出た受賞結果だった。
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