家族の絆を描き続けてきた山田洋次監督の最新作『おとうと』の完成報告会見が、11月9日にザ・プリンスパークタワー東京で行われ、山田監督をはじめ、キャストの吉永小百合、笑福亭鶴瓶、蒼井優が出席。撮影裏話などを語った。
冒頭の挨拶で、「若い頃は、小津安二郎なんて旧時代の遺物だと思っていましたが、年を経るごとにその偉大さが分かるようになった」と語った山田監督は、この映画を市川崑、小津安二郎、両監督に捧げるつもりで作ったことを明かした。
吉永演じる賢く心優しい姉と、鶴瓶演じるどうしょうもなくダメな弟の絆を描いた本作。病に倒れる弟を演じるため、2カ月で15kg痩せた鶴瓶は、「ダイエット中に吉永さんが大根スープを持ってきてくれたりしたのですが、最後に、『もう痩せないで』と言ってくれて。死んでもええわと思ったくらい幸せでした」と懐かしそうに語った。
また鶴瓶は、病床に伏すシーンの撮影時を振り返り、「ずーっと吉永さんが足をさすってくれはるんです。ナマ足ですよ! 兄貴にいうたら、どんだけ怒られるか」と満面の笑み。さらに、吉永から電話やメールをこまめにもらったことを嬉しそうに話し、その全てのメールを保存してときどき見直していると告白。一方、まったく連絡をしてくれないのが蒼井だそうで、「吉永さんは電話をかけるとすぐコールしてくれるのに、蒼井優なんか電話してこいって言っても全然してこない」と苦笑いしながら明かした。
鶴瓶に不義理を指摘された蒼井は決まり悪そうに顔を手で覆っていたが、すぐに、「吉永さんが鶴瓶さんを支えるシーンでは、カットがかかってるのに、鶴瓶さんはずーっと吉永さんにもたれてすっごく幸せそうにしていて……」と暴露し、反撃。その至福のシーンについて鶴瓶は、「もっと長う撮影してくれたらよかったのに」と残念そうに言い、「すごく(カットの声が)早かったですよ!」と監督に苦情を述べていた。
会見の終盤、映画のテーマである「家族」への思いについて聞かれた吉永は、「とてつもなく強い母親と優しい父親に育てられました。2人に反抗するような形で家を出たこともありましたけれど、2人ともいなくなってみると、もっともっといろんなことを話しておきたかったと思う」と自らの過去を振り返りながら、シンミリと語っていた。
最後に鶴瓶が、「家族のことをもう一度、改めて考えるのにいい作品だと思いますので、ぜひ見に来てください」と映画について語り、その素晴らしさをアピールしていた。
『おとうと』は2010年の1月30日より全国公開される。
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