人間の都合で犠牲となった宇宙犬がいた! 60年前と現代、犬たちの過酷な現実
ソ連宇宙開発の犠牲になった宇宙犬ライカの物語
1950年代にソビエト連邦の宇宙計画で初めて宇宙へ旅立った“宇宙犬”を描いたドキュメンタリー映画『犬は歌わない』が、6月12日に公開される。このたび、本作品の2人の監督へのインタビューの模様を中継するオンラインイベントが開催されることがわかった。
北朝鮮強制収容所の人々の“夢や憧れ”に思いを馳せ。本気で12万人を救いたいと考える監督が心意気語る
このイベントでは、エルザ・クレムザーとレヴィン・ペーターの両監督に、批評家の金子遊が“宇宙犬”のことをはじめ、様々な映画の見所を聞くもので、6月10日の21時開始、22時終了予定だ(https://youtu.be/E4sFH5AFSoc)。
またこのタイミングに合わせ、昼夜を問わず監督やスタッフたちがモスクワの街角を駆け巡り、犬目線で撮影した本作品のメイキング映像も特別に公開された(https://www.youtube.com/watch?v=I0rVQZaddY8)。
まるでタルコフスキー! 神話の美しさをたたえた魅力的なビジュアル
本作品は、1950年代の東西冷戦時代のソビエト連邦が打ち出した宇宙開発計画の1つ、スペース・ドッグに基づき、世界初の“宇宙犬”として飛び立ったライカを軸に描くドキュメンタリー映画。
ライカは、かつてモスクワの街角を縄張りにする野良犬だったが、宇宙開発に借り出され、宇宙空間に出た初の生物であり、初の犠牲者である。
映画では、当時の宇宙犬ライカのアーカイブだけでなく、現在のモスクワの犬たちの苛酷な現実を照らし合わせながら、「ライカは霊として地球に戻り、彼女の子孫たちと共に街角をさまよっている」という都市伝説も紹介。モスクワの街角と宇宙が犬たちを通して交差する、新感覚のドキュメンタリー映画となっている。
本作品は、ロカルノ国際映画祭2部門(ヤング審査員特別賞、フィルムメーカーズ・オブ・ザ・プレゼント部門ISPEC特別賞)を受賞したほか、「オーストリア・ヴィエンナ-レ2019最優秀オーストリア映画賞」受賞、「ドイツ・ドック ライプツィヒ2019」入選など世界各国の映画祭で受賞やノミネートされた。
映画批評サイトCineVueが「まるでタルコフスキーが監督したディズニー映画」と例えれば、The NewYork Timesは「別の惑星で撮ったような魅力的なビジュアルに満ちあふれている」と評したこの映画について、人類学者の中沢新一は、「Space Dogs(宇宙犬)は神話の美しさを湛えている」とコメントしている。
アンドレイ・タルコフスキーを彷彿させる映像美とリアルな描写の場面写真はコチラ!
『犬は歌わない』は、6月12日に公開される。
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