話題作が次々とリリースされ、とどまるところを知らない海外ドラマブーム。レンタル店の棚を占拠するほどの勢いに、その人気ぶりがうかがえるが、このブームの火付け役となったのが『24 -TWENTY FOUR-』シリーズだ。それまでのパターンを覆し、24時間の出来事をリアルタイムで見せるという斬新な構成が話題を呼び、限られた時間でのスリリングな物語の面白さと相まって、日本で爆発的人気を博した。
この作品をリリースしているのが20世紀フォックス ホーム エンターテイメント(以下、20世紀フォックス)。『24』の他、『プリズン・ブレイク』『BONES-骨は語る』などの人気作を抱えている。この20世紀フォックスでマーケティングPRを担当している鈴木章公さんに、人気作品の魅力や意外なオススメ作などについて話を聞いた。
●社会現象を巻き起こした認知度100%ドラマ
今や海外ドラマの代名詞とも言える『24』だが、さかのぼること10年以上前、90年代の日本で一大ブームを巻き起こしたのが、超常現象を描いた『Xファイル』シリーズ。実はこれも20世紀フォックスの作品だ。
「今では考えられませんがゴールデンタイムにテレビ放映されていたこともあり、社会現象を巻き起こした作品です。特にテーマ曲は今でもテレビ番組などでよく使われていますし、認知度は今も100%に近いと思います」
当時はまだビデオが主流だったが、レンタル市場の拡大と作品の人気が歩調を合わせる形で出荷本数を伸ばしていったという。
次に人気を博したのが、同じく20世紀フォックスがリリースした『ツイン・ピークス』シリーズ。巨匠デヴィッド・リンチが製作総指揮を務めたミステリーだ。
そして、03年にDVD発売されたのが『24』シリーズ。主人公のジャック・バウアー捜査官はお笑いのネタにまでされるようになり、今に至る海外ドラマブームを牽引した。
「『24』の人気は本当にすごくて。シーズン3の発売時には開店前に行列ができ、お客さんが殺到して棚が倒れたこともありました(笑)。
以前は、『Xファイル』や『ツイン・ピークス』など個々のドラマが人気でも、それに続く作品が少なかった。けれど、『24』の後は『LOST』や『HEROES/ヒーローズ』といった強力な作品が他社からも次々とリリースされ、個々の“点”だった人気が“線”でつながり、全体的に盛り上がったんだと思います」
そして、20世紀フォックスで『24』に続く人気を誇るのが、天才的な頭脳をもつ脱獄犯の活躍を描いたサスペンス『プリズン・ブレイク』。これに続くのが、被害者の骨から謎を解明する犯罪捜査ドラマ『BONES-骨は語る』、レズビアンの女性たちの人間模様を描いた『Lの世界』だ。
●1人の女優の来日が、レズビアンドラマを大ブレイクさせた!
『24』をはじめ、どちらかというと男性向けの人気作が多い20世紀フォックス。『Lの世界』は、そのターゲット層を広げようとリリースした、チャレンジングな作品だったという。
当初、サンプル盤を見たマスコミの反応は上々で、鈴木さんたちの期待も高まっていたそうだが、リリースしてみると反応はイマイチ。作品名は浸透したものの、レズビアンものということもあり、女性たちに手にとってもらえない時期が半年ほど続いた。
「その状況を一変してくれたのが、キャストであるキャサリン・メーニッヒの来日でした。成田空港には約1000人が集まり、そのことがニュースでも報じられたことが大きかったですね」
空港に1000人のファンが殺到!『Lの世界』の人気女優が初来日
キャサリン・メーニッヒ インタビュー動画
ちなみに昨年1月にジョニー・デップが来日したときに成田に集まったファンの数が1500人というから、その人気ぶりが分かるだろう。劇中では「くどいた女は必ず落とす」ボーイッシュな魅力を放つ美容師を演じ人気を博したメーニッヒだが、実は鈴木さんたちもこれほど多くの人々が出迎えてくれるとは思わず、「最初は30人くらいかなって思ってました(笑)」。だが、ネットでの反応をチェックするうちに「100人くらいはいけるかも」と期待が高まっていったが、最終的にはその10倍もの人が集まり、嬉しい悲鳴を上げることとなったわけだ。
「『Lの世界』のユーザーは、95%が女性。でも、最初は女性は80%くらいで、10代の男の子が意外に多かったんです。セクシーなシーンも多いので、下心から借りられていたみたいですね(笑)」
●次なるイチオシは、気軽に見られる異色のスパイもの
そんな20世紀フォックスの次なる一手が『バーン・ノーティス 元スパイの逆襲』。突然、理由も分からず解雇されてしまった敏腕スパイが、知人たちから持ち込まれる細々とした、およそスパイ向きではない事件を解決していく姿を描いた作品で、綿密な調査に基づくスパイのワザが披露されるのも見どころのひとつ。『24』や『プリズン・ブレイク』のシリアス路線から一転、アクション・シーンも満載でありながら気軽なノリで見られる、これまでになかったテイストの作品だ。
「主人公の声の日本語吹き替えは、ルパン三世の声でおなじみの栗田貫一さん。また、吹き替え版の脚色を担当しているのが、ドラマ『東京DOGS』『33分探偵』などで人気の構成作家・福田雄一さん。コメディタッチな部分の面白さを、どうしたら日本語吹き替え版でもうまく伝えられるかと考え、福田さんにお願いすることになりました」
●見ればハマる! 超オススメのリアリティ番組
これまで語ってもらったのは、いわば“王道作品”。一方、隠れたオススメ作品として挙げてくれたのが『ジョー・ミリオネアー 〜Love or Money〜』と『誘惑のアイランド』の2つのリアリティ番組。前者は、本当は年収250万円の建設作業員ながらも大金持ちの独身男性に仕立て上げられたイケメンを巡る、やる気十分な花嫁候補たちの壮絶バトルを追った作品。後者は、美しい楽園の島に降り立った4組のカップルが16日間離ればなれにされた上、セクシーな誘惑にさらされ、愛の試練に揺れる様子が赤裸々に映し出される。
「海外ドラマとはまたひと味違うものを打ち立てたいと思ったのですが、あまり受け入れられませんでした(笑)。見ればとても面白くて、社内的には盛り上がってたんですけど……」
来年は、『トゥルー・コ―リング』のエリザ・ドゥシュク主演、別の人格と入れ替えられたヒロインたちが事件を解決していくというSFサスペンス『ドールハウス』、名優ティム・ロス扮する捜査官が様々な嘘を見抜いていくミステリー『Lie to me(原題)』がリリースされる予定だ。
「それから、日本でも裁判員制度が始まったので、法廷ものの『ザ・プラクティス』『ボストン・リーガル』も、来年、出したいと思っています」
20世紀フォックス ホーム エンターテイメント/出荷金額ベスト10
(2009年11月現在)
1位 『24 −TWENTY FOUR−』(シーズン1〜7)
2位 『X−ファイル』(シーズン1〜9)
3位 『プリズン・ブレイク』(シーズン1〜4)
4位 『BONES −骨は語る−』(シーズン1〜3)
5位 『アリ− myLove』(シーズン1〜5)
6位 『ダーク・エンジェル』(シーズン1〜2)
7位 『Lの世界』(シーズン1〜5)
8位 『トゥルー・コ―リング』(シーズン1)
9位 『ロズウェル/星の恋人たち』(シーズン1〜3)
10位 『ミレニアム』(シーズン1〜3)
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