映画の日でもある12月1日に、山田洋次監督の最新作『おとうと』の完成披露試写会が丸の内ピカデリーで開催され、山田監督をはじめ、吉永小百合、笑福亭鶴瓶、石田ゆり子、小林稔侍が登壇した。
ゲストとして鳩山首相と幸夫人も駆けつけたが、鳩山首相は都合により舞台挨拶のみの参加。「山田洋次監督が作られた素晴らしい作品を、私も見たいです」と残念そうに語り、「代わりに、私よりももっと映画好きの幸が拝見させていただきます」と挨拶した。大の映画好きとして知られる幸夫人だが、映画作りにも興味をもっているそうで、鳩山首相は「亭主の世話をするよりも映画を作りたいと毎日言っております」と、寂しげな笑みを浮かべた。
また、タイトルに関連し、「映画を見て、弟(鳩山邦夫前総務大臣)と良い関係になりたい」と切ない願望をもらした鳩山首相。「今日も弟は私のことをいろいろと言っていると思いますので、本当に映画を見たいのですが……」と後ろ髪を引かれつつ、劇場を後にした。
鶴瓶演じる不出来な弟と、吉永演じる堅実で心優しい姉との絆を描いた本作。絶妙な演技で見事な存在感を示した鶴瓶は、「吉永さんの弟役が僕でいいのかな、夢じゃないかと思いながら演じていました」と振り返った。また、映画デビューしてから今年で50年となる吉永がいつまでも初々しさを保ち続けていることについて触れ、撮影中に「何でそんなに初々しいのか」と鶴瓶がたずねたところ……「慣れてないんですと仰ったんです! 僕は反省しました」と、いつまでも初心を忘れない吉永への敬意を述べていた。
また、山田監督は製作のきっかけについて、「『母べえ』で共演された吉永さんと鶴瓶さんの楽しそうな様子を見ながら、市川崑監督の『おとうと』の姉弟が年を重ねていったらどうなるだろうと思い、構想しました」と明かし、「これは姉と弟の話で、乱暴な言い方をすればホームドラマなのですが、人と人とのつながりをじっくり見ていただき、掘り下げていくと、いろいろなことが見えてくる映画だと思います」と語った。さらに日本の映画作りの厳しい現状を嘆く一方で、「僕は超大作に興味はないのですが、そういったものでなくても、映画というものにたどり着けるんだと思いました。皆さんも、こういう日本映画があるんだと受け止め、楽しんでいただけたら嬉しいです」と客席に語りかけていた。
『おとうと』は2010年1月30日より全国公開される。
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