スウェーデン発、全世界で2100万部を突破したベストセラー・ミステリー『ミレニアム』3部作。その第1弾『ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女』が映画化され、1月16日から日本公開される。
名誉毀損で敗訴した失意の敏腕ジャーナリスト、ミカエルと、天才的なハッカー技術をもつ個性的な女性調査員リスベットの2人が追う、40年前の少女失踪事件。スウェーデンの孤島から忽然と姿を消した美少女の行方を探るなかで、忌まわしい歴史が浮かび上がり……。
小説は、社会派の政治ジャーナリストだったスティーグ・ラーソンの処女作で、この爆発的ヒットにより、ラーソンは一躍、世界的ベストセラー作家に。だが実は彼は、出版を目前にした04年に、心筋梗塞で急死しており、その悲しいエピソードも大きな話題となった。
原作同様、映画も世界中で注目されているが、この秀作ミステリーについて、プロデューサーのソロン・スターモスに話を聞いた。
──小説がベストセラーになる前に映画化権を獲得されたそうですが、当時は無名だった作家の処女作の、どこに魅力を感じたのですか?
スターモス:まず、ヒロインのリスベットが魅力的でした。背中にドラゴン・タトゥーがあり、鼻ピアスをした「戦う女性」である彼女は、これまでのミステリー小説や映画に登場したことのない新鮮なキャラクターだったんです。
──映画はヨーロッパでも大ヒットし、今年は北米でも公開されるそうですが、製作時にどの程度のヒットを期待していましたか?
スターモス:通常、スウェーデンの映画をデンマークの人はほとんど見ないし、デンマークの映画もスウェーデンの人はほとんど見ません。つまり、映画のヒットが国境を越えることは、まずありません。ですから、製作時は、スカンジナビア諸国でヒットすればいいなと期待していたのですが、まさかそれ以上のヒットになるとは想像もしていませんでした(笑)。
現時点(08年10月)での世界興行収入は1億ドルで、2010年には北米でも公開されますし、日本以外のアジア諸国でも交渉が進んでいます。
──アジアでは、日本で最初に公開されるそうですが、自信はありますか?
スターモス:日本でもヒットしてほしいですね(笑)。
日本もそうだと思いますが、スウェーデンでも、犯罪や社会的な面で、女性は虐げられる傾向にあります。ヒロインのリスベットは、被害者にならないために戦っている、いわば戦士です。日本のサムライにも通じる部分があると思うので、日本の女性にも受け入れやすい、シンボリックなキャラクターになるのではないかと期待しています。
──原作を映画化するにあたって気をつけたことはありますか?
スターモス:原作者のラーソンは、正義感に満ちたジャーナリストで、フェミニストをサポートしてもいました。だから、リスベットが戦う女性として描かれているわけですが、そのリスベットを、原作に忠実に映画にしなかれば、という使命を感じていました。
リメイクのオファーもきていますが、ご遺族の意向も踏まえた上で、リスベットの存在感を崩さないようにしたいと思っています。
──最後に、スウェーデンの映画事情を教えてください。
スターモス:スカンジナビアでは、テレビ局が映画製作に全面的に関わっているので、テレビなしでは映画は作れないと言えるでしょう。多くの場合、最初からテレビシリーズを前提に映画を作っています。つまり、映画が広告塔のようになって、その後、テレビシリーズが始まっていくんです。
将来の展望については、私は明るいと感じています。若手監督たちへのサポートが手厚く、世界中の映画祭にもいろいろな作品が出品されていて、なかにはカンヌ(国際映画祭)で話題になったものもあるなど、いろいろなことが前向きに進んでいると思います。
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