ギリシャ神話をモチーフにしたスペクタクルアクション『タイタンの戦い』(4月23日より全国公開)。特撮技術の歴史を切り開いてきた伝説の特撮監督レイ・ハリーハウゼンの最後の劇場用映画としてカルト的人気を誇る1981年の同名映画を、迫力の3D映像でリメイクした作品だ。
主人公は、『アバター』で大ブレイクしたサム・ワーシントン。その周りをリーアム・ニーソン、レイフ・ファインズといった演技派が固め、物語に奥深さを醸し出す。神と人間が共存していた時代を舞台に、神の肉体と人間の心を持った男ペルセウスと、邪悪な神々との戦いを描いた物語だ。
監督したのは、『トランスポーター』シリーズを手がけたフランス人の新鋭監督ルイ・ルテリエ。今後の活躍が期待される36歳のルテリエ監督に、オリジナル作品への思い、3D映画の未来について話を聞いた。
[動画]『タイタンの戦い』予告編
『タイタンの戦い』作品紹介
──熱狂的なファンを持つオリジナル作品をリメイクすることに躊躇(ちゅうちょ)はありましたか?
ルイ・ルテリエ:8歳の時にオリジナルを見たのですが、人間と怪物との戦いに衝撃を受けました。それは、初めて体験する衝撃で、だから、この映画のオファーをもらった時は、「これはスゴイ! どうしてもやりたい」と思ったのです。
オリジナルをどう扱うかについては悩みましたが、ハリーハウゼンにオマージュを捧げつつも、自分自身のスタイルで物語を作っていきました。
──華やかさと実力を併せ持つ俳優たちが見事な共演を繰り広げますが、キャスティングで注意したことなどはありますか?
ルイ・ルテリエ:とにかく良い俳優を起用しようと心がけました。有名かどうかは問題ではなかった。サム・ワーシントンは、母国オーストラリアではよく知られた俳優でしたが、キャスティング当時は、アメリカやフランスでは無名の存在でした。彼はとにかく情熱的に仕事に集中してくれる。スタッフみんなを巻き込み、前向きな雰囲気を作ってくれるとても良い俳優でした。
レイフ・ファインズについては、ゼウス役のリーアム・ニーソンの薦めで決めました。
ペルセウスを導くイオを演じたジェマ・アータートンは、『007/慰めの報酬』でボンドガールを演じた女優ですが、以前から良い女優だと思っていました。ただ、本作と同じジャンルの映画『プリンス・オブ・ペルシャ/時間の砂』でプリンセス役を演じていたので、似たような作品には出演したがらないかもしれないと心配したのですが、セリフ合わせをしたらとにかく上手だったので、ぜひ出てもらいたいと思いました。
──今回、初めて3D映画を監督したわけですが、3Dの登場は映画界を変えると思いましたか? 2D映画は駆逐されていくのでしょうか?
ルイ・ルテリエ:変えていくとは思いますが、これまであった2D映画がなくなることはないでしょう。今回私は、この映画でアナモフィックレンズという種類のレンズを使いました。これは50年代に発明され、80年代に一度すたれたのですが、こうやってまた私が使ったりするわけです。つまり、新しい技術が出てきたからといって、古い技術が打ち消されるわけではないんです。
私自身、今後の映画をすべて3Dで作ろうと思っているわけではないし、もしかしたら3Dは二度と監督しないかもしれないですしね。
技術の革新についていうと、次のステップは、どんどんインタラクティブになっていくでしょう。嗅覚や触覚などが体験でき、観客が完全に映像の中に入り込んでいくような映画ができるかもしれません。とはいえ、早くても20年後だとは思いますけど。
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