四肢軟骨無形成症(ししなんこつむけいせいしょう、通称コビト症)により余命宣告を受けた青年・池田英彦の初主演・初監督にして遺作『愛について語るときにイケダの語ること』が、6月25日に公開されて以来、好調だ。
・身長112センチの青年、最期の2年間を凝縮した映画『愛について語るときにイケダの語ること』
障害を持った無名の青年による異形の遺作、映画ファンを動かす
“余命宣告”を受けたイケダ(池田英彦)は、「生きているうちにセックスをたくさんしたい」と考え、その過程でカメラを回し始める。その楽しみを覚えた彼はある企みを思いつく。「僕の本当の姿を映画にして見せつけてやる!」。そして、脚本家・真野勝成を巻き込み、虚実入り乱れた映画の撮影を始める。エンディングは初めからイケダの死と決まっていた。
イケダは2年間の闘病後、2015年10月25日に他界。後にはイケダが「作品」と呼んだ不特定多数の女性とのセックスを記録した映像をはじめとする60時間を超す素材が遺された。
イケダの意思を受け継ぎ映画を完成させたのは、彼の20年来の親友にして、『相棒』『デスノート Light up the NEW world』などヒット作の脚本を手がけた真野勝成。編集をつとめたのは『ナイトクルージング』『マイノリティとセックスに関する、極私的恋愛映画』などの監督作がある佐々木誠。膨大で、なおかつ断片的な素材を58分間に見事にまとめあげた。
作り方から内容まで、その全てが前代未聞。この異例の映画が25日に公開されるや、若者はもちろん、様々な層の観客が劇場に押しかけた。
公開劇場のアップリンク吉祥寺では、緊急事態宣言中は、座席を50%間引きにして営業していたが、6月21日に宣言が解除された後、23日から客席を100%開放(イベント時のみ最前列を潰して販売)。本作の上映自体は1日1回ではあるものの、一番大きいスクリーン(98席)で上映。3日間連続で満席の好調スタートとなった。
障害を持った無名の青年による遺作。本来であれば、完成する可能性すら少なかった異形のドキュメンタリー映画を求めて、映画ファンの足が劇場に向かっている。
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